1990 年 100 巻 9 号 p. 953-
薬疹患者の皮疹出現時における末梢血リンパ球のDNA量を,フローサイトメトリーを用いて測定し,G0G1,S,G2+M期にあるそれぞれの細胞数の比率を求めた.健常人では,ほとんどのリンパ球がG0G1期にみられたのに対し,薬疹患者群ではS期のリンパ球が有意に増加していた.この結果より,薬疹患者では,生体内で薬剤刺激によるリンパ球幼若化反応を起こしている可能性が示唆された.薬疹患者と湿疹およびウイルス疹患者とではリンパ球幼若化率に差がみられた.本法による皮疹出現時におけるリンパ球の細胞動態の解析は,薬疹の診断方法の一助になりうる.