抄録
ヒト正常皮膚における血液型物質関連抗原(Lewis A,B,CA19-9,sialyl SSEA-1)の局在をモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に検討した.正常表皮細胞はすべて陰性であったが,粘膜上皮では,Lewis A,Lewis B抗体により上皮細胞膜に一致した陽性所見が得られた.エックリン汗器官では,表皮内および真皮内導管上皮の細胞質すべてに,Lewis A,Lewis BおよびCA19-9の抗体で陽性所見が得られた.同分泌部では,腺上皮細胞質にLewis B抗体で過半数に陽性所見が認められた.また,Lewis A抗体陽性の場合にのみ,CA19-9の抗体で陽性所見が得られた.シアリルSSEA-1の抗体は,エックリン汗器官に対しては,わずかに顆粒状に陽性を示した.また,Langerhans cellと思われる樹枝状細胞と,浸潤リンパ球の一部で,陽性所見が得られたことは興味深い.いずれの場合にも,末梢のLewis式血液型との関連は認められなかった.