日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
Transient Acantholytic Dermatosisの2例―本邦報告20例のまとめ―
加藤 直子古屋 和彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

1991 年 101 巻 4 号 p. 453-

詳細
抄録

Transient Acantholytic Dermatosisの自験2例を報告するとともに,本邦報告20例をまとめた.報告例は男性10例,女性10例で,平均年齢は52.6歳で,40%が50台に発症していた.病悩期間が数ヵ月までで真に一過性の経過を有する症例は僅かに7例で,年余にわたり改善と増悪を繰り返すなど再発性の例が6例に及んでいた.罹患部位は,14例が腹部および腰部を含めた躯幹に集中し,次いで四肢が12例であった.自覚的に瘙痒を訴える例が12例と多く,時期的には夏から秋に症状を有する例が9例であった.組織学的に観察される表皮細胞の棘融解像は,Darier-like patternが最も多く9例に,次いでspongiotic patternが5例に認められていたが,他の型との混在型も多かった.治療はetretinateの内服を試みている例が8例あり,ほとんどの例では有効であった.

著者関連情報
© 1991 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top