抄録
角層細胞の剥離に関与するプロテアーゼを検討する目的で正常足底角層凍結乾燥粉末を0.1M Tris-HCl(PH 7.2)bufferで抽出し,0.1%カゼイン含有SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を行い,カゼインを消化させたところ既に報告されている分子量25Kdのカゼインを消化する低分子プロテアーゼのほかに分子量約75Kdの高分子プロテアーゼの存在が明らかになった.この高分子プロテアーゼは温度に対して高い安定性を示し,至適pHは弱アルカリ性であった.この高分子プロテアーゼのカゼイン消化能はAprotininとPMSFで阻害されたがLeupeptin,Chymostatin,EDTA,硫酸亜鉛では阻害されず,このことからセリンプロテアーゼと考えられた.この高分子プロテアーゼは内因性のセリンプロテアーゼであるPlasmin,外因性のセリンプロテアーゼであるSubtilisinなどとは分子量だけでなく種々のInhibitorsに対する反応性も異なっていて角層固有のプロテアーゼである可能性が示唆された.尚,今回の実験から足底角層中に低分子プロテアーゼの他に73Kdのプロテアーゼが存在する可能性も示された.