第1報において,全身性エリテマトーデス(SLE)に蓄積する組織球(Mφ)について報告し,細胞質内の顕粒をリポフスチンと同定した,今回,我々はこのリポフスチン(ceroid)の生成機序について考察した.脂腺毛嚢―真皮境界部に免疫複合体(IC)およびV5b-9複合体(MAC)の沈着をみた.かつ脂腺の構造および基底膜に様々な変化が観察された.凍結標本の脂腺細胞内に好酸性脂質(soluble and insoluble acidic linid)の形成が見られた.また,脱パラフィン標本においてコロイド鉄反応およびマッソン染色陽性の微細な不溶性顆粒が観察された.この不溶性顆粒を過酸化脂質蛋白質複合体(ceroid-like state:Ball)とみなした.崩壊した脂腺内外に自家螢光を発するceroidを含有するMφ(ceroid-laden Mφ)が存在した.小動脈にceroid-laden Mφ,ICおよび中性脂質等による塞栓を観察した.一部のMφ内に免疫グロブリンおよび補体の沈着を見た.SLEの皮膚病変内にceroid-laden Mφが形成され,蓄積する機序を病理免疫組織化学所見から以下のごとく考察した.1.単球・組織球の遊走および活性化はIC,MAC,過酸化脂質およびceroid-like state にある過酸化脂質蛋白質複合体によって惹起される.2.活性酸素種は活性化Mφ,酸化されたICおよび灌流障害(完全または不完全虚血・再灌流)などから生成される.3.酸化される脂質は主に脂腺および皮下脂肪である.4.脂腺および皮下脂肪由来の脂質およびIC由来の蛋白質が酸化され,ceroid-like stateの過酸化脂質蛋白質複合体となる.5.Mφは取込んだceroid-like stateの過酸化脂質蛋白質複合体をさらに酸化し,ceroidを生成する.
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