2022 年 21 巻 4 号 p. 307-313
54歳男性。初診 1 ヶ月前より顔面,体幹に紅斑が出現し当院を紹介されて受診した。初診時筋力低下の自覚はなかった。採血上,CK 2,436 U/l と高値であり,抗 TIF1-γ 抗体陽性で皮膚筋炎と診断した。CT,上部内視鏡で進行胃癌,肝転移,多発リンパ節転移 Stage IV の診断となった。初診 2 週間後には急速に筋力低下が出現し CK 9,083 U/l と更に上昇した。嚥下障害も出現しステロイド加療行ったが症状は残存した。化学療法も実施したが,初診後 4 ヶ月で永眠した。抗 TIF1-γ 抗体陽性悪性腫瘍合併皮膚筋炎では比較的筋炎症状が軽度であると報告されているが,自験例を含め初診時より CK が著明に高値であり筋炎症状が急速に進行した 3 例では癌の Stage が進行していた。文献的考察から筋炎症状が急速に進行する抗 TIF1-γ 抗体陽性悪性腫瘍合併皮膚筋炎では予後が短く,より早急な悪性腫瘍精査が必要であることが示唆された。 (皮膚の科学,21 : 307-313, 2022)