日本皮膚科学会雑誌
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各種glucocorticoidの表皮細胞角化への影響―第2報:培養ヒト表皮細胞の新しい角化モデルを用いた観察―
三上 幸子三上 英樹
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1993 年 103 巻 4 号 p. 501-

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抄録

我々は既に,透過性コラーゲン膜の表面に表皮細胞を,裏面に線維芽細胞を培養し,表皮細胞表面を空気と接触させることにより分化を誘導し,角化度定量が可能な培養実験モデルを開発した.今回,glucocorticoid(GC)の表皮細胞角化に及ぼす影響を検討するため,この培養角化モデルを用いて,hydrocortisone,prednisolone, triamcinolone acetonide,dexamethasoneの4種のGCを添加しcornified envelope(CE)形成の変化を観察した.GCの濃度は各々10-7Mから10-4Mとした.各種GC間の比較では,モル濃度を同等とした場合および抗炎症効果を同等とした場合について観察した.その結果,すべてのGCは濃度依存性にCE形成を抑制した.各種GC間での比較では,同等モル濃度では抗炎症効果の高いGCの方がよりCE形成を抑制するが,その程度は抗炎症効果の比率ほど大きくはなかった.培養表皮細胞のカルシウム依存性分化を用いた第1報との比較から,GCの角化に対する影響は,真皮抑制を介した間接作用より表皮細胞に対する直接作用が主体であること,また,GCの角化抑制の程度はGCのモル濃度とも抗炎症効果とも同等ではなく,新たな指標で評価する必要があることが示唆された.

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© 1993 日本皮膚科学会
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