日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
103 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 横関 博雄, 片山 一朗, 西岡 清, 西山 茂夫
    1993 年 103 巻 4 号 p. 493-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    接触過敏症の感作成立におけるケラチノサイトの役割を解析するためハプテンが結合したBalb/cマウスのケラチノサイト系細胞株であるPam 212細胞(以下Pam細胞)を用いてin vitroにて接触過敏症を誘導しうるエフェクターTリンパ球を誘導する方法を確立した.方法はPam細胞にハプテンであるTNP(Trinitro phenyl)基を結合させ固定した後,正常脾細胞と混合培養した.培養後5日目にこの脾細胞中に抗原特異的接触過敏症を誘導しうるエフェクターTリンパ球が存在することをin vivo,in vitro の実験系で証明した.またこの実験系では脾細胞中のT リンパ球のみならずマクロファージも必要であることも証明した.この実験系は接触過敏症の感作成立におけるケラチノサイトの役割を解析するうえで有用であるだけでなく将来的に感作性試験として利用できる可能性があると考えられた.
  • 三上 幸子, 三上 英樹
    1993 年 103 巻 4 号 p. 501-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    我々は既に,透過性コラーゲン膜の表面に表皮細胞を,裏面に線維芽細胞を培養し,表皮細胞表面を空気と接触させることにより分化を誘導し,角化度定量が可能な培養実験モデルを開発した.今回,glucocorticoid(GC)の表皮細胞角化に及ぼす影響を検討するため,この培養角化モデルを用いて,hydrocortisone,prednisolone, triamcinolone acetonide,dexamethasoneの4種のGCを添加しcornified envelope(CE)形成の変化を観察した.GCの濃度は各々10-7Mから10-4Mとした.各種GC間の比較では,モル濃度を同等とした場合および抗炎症効果を同等とした場合について観察した.その結果,すべてのGCは濃度依存性にCE形成を抑制した.各種GC間での比較では,同等モル濃度では抗炎症効果の高いGCの方がよりCE形成を抑制するが,その程度は抗炎症効果の比率ほど大きくはなかった.培養表皮細胞のカルシウム依存性分化を用いた第1報との比較から,GCの角化に対する影響は,真皮抑制を介した間接作用より表皮細胞に対する直接作用が主体であること,また,GCの角化抑制の程度はGCのモル濃度とも抗炎症効果とも同等ではなく,新たな指標で評価する必要があることが示唆された.
  • 須賀 康, 高森 建二
    1993 年 103 巻 4 号 p. 507-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    プロテアソーム(高分子量タンパク分解酵素)は,近年新たに発見された非リソゾーム系セリンプロテアーゼのひとつである.今回,ヒト肝プロテアソームモノクローナル抗体を用いてヒト皮膚中におけるプロテアソームの存在を,1.正常皮膚,2.尋常性乾癬,3.いくつかの代表的な皮膚悪性腫瘍(有棘細胞癌,Bowen病,基底細胞上皮腫)の組織を用いて検討したので報告する.ヒト正常皮膚では,プロテアソームは主として表皮細胞質に均一な陽性所見として認められ,顆粒層から有棘層の核にも陽性反応が認められた.尋常性乾癬では,顆粒層から有棘層下層の細胞質と顆粒層から有棘層の核に強い陽性所見が認められた.一方,有棘細胞癌やBowen病のような悪性腫瘍細胞では細胞質には殆んど陽性所見が認められず,核にのみ特異的に強い陽性反応が認められた.しかし,基底細胞上皮腫では細胞質,核ともに弱い陽性所見を示した.以上の結果は表皮細胞の分化の制御機構や悪性化にプロテアソームが関与している可能性を示唆している.
  • 森 健一, 浜崎 洋一郎, 植木 宏明, 阿多 雄之, 八幡 義人
    1993 年 103 巻 4 号 p. 513-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    35歳女性の成人Still病に血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を併発したと思われる1剖検例を報告した.初診の3週間前より,発熱や体幹部の紅斑が出没し,検査所見で白血球増加,赤沈値亢進,LDHの増加,血清フェリチン高値,血清トロンボモジュリン(TM)値の増加を認めた.Prednisolone 40mg より投与を開始したが,難治のためミニパルス療法(0.5g×3日)を施行.その翌日より,TTPの5徴候(血小板減少,溶血性貧血,神経症状,発熱,腎障害)が出現し,同時に凝固線溶系の分子マーカー(TAT, PIC, D-ダイマー,TM値)の増加も認めた.TTPは内科領域でも稀な原因不明の疾患であり,成人Still病との合併例は本邦で第1例目と思われる.また,TMをはじめとした分子マーカーが,TTPや他の血栓症・血管炎の早期診断や治療の指標に有用と考えた.
  • 清島 真理子, 尾関 俊彦, 森 俊二, 安田 一朗, 高橋 健, 武藤 泰敏
    1993 年 103 巻 4 号 p. 521-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    56歳,女性.急性骨髄性白血病(AML)(M2)と診断され,抗白血病剤の多剤併用療法(BHAC-AMP,BHAC-DMP)により完全寛解状態であったが、体幹,四肢に小豆大~大豆大で,紅色~暗赤色の丘疹が多発してきた.皮膚生検組織において,表皮直下から真皮全層にわたり,稠密な異型白血球の浸潤がみられ,AMLの特異疹と診断した.BHAC-DMP療法(BHAC, DNR, 6MP, PSL)により末梢血および骨髄中では芽球の消失が認められたが,皮疹については無効であった.その後AB triple V療法(ACR, BHAC, VP-16, VCR, VDS)を開始したところ,8日目より皮疹は急速に退色し,消失した.以後再び末梢血および骨髄において再発が認められたが,死亡に至るまでの5ヵ月間,皮疹の再発は見られなかった.AMLに対して種々の治療が試みられているが,骨髄,末梢血だけでなく,特異疹に対しても有効である治療は少ない.本症例ではAB triple V療法が,骨髄,特異疹両者に有効であり,さらに特異疹の再発がみられなかったことから,この治療が特異疹を伴うAMLに対し試みるべき治療法の一つであると考えられた.
  • 林 弘子, 山田 義貴, 出来尾 哲
    1993 年 103 巻 4 号 p. 527-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    Trichilemmomaの1種であるTumor of the follicular infundibulum(以下TFIと略す)を発生母地として生じたと思われるTrichilemmal carcinoma(以下TCと略す)の1例を経験したので,報告した.患者は72歳の女性で,初診の約10年前より腹壁左側に栂指頭大の褐色斑があったが,放置していた.初診の10日前頃より褐色斑の一部が次第に隆起し,小指頭大の黒褐色隆起性結節となった.褐色斑部と結節部の病理組織像は,それぞれTFI,TCであると考えられた.従って,自験例はTFIを発生母地としてTCが生じた1例であると思われた.
  • 西本 正賢, 中嶋 邦之, 佐々木 和江, 佐々木 道生, 高岩 堯
    1993 年 103 巻 4 号 p. 533-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    27歳,女性.繰り返し出現する膨疹・浮腫と著明な好酸球増多を主訴として来院.両下腿・両手背に腫脹と膨疹.膨疹は3時間後には消失.末梢血好酸球数は最高40,586/mm3,血清ECP値は最高353.1μg/l.骨髄像では細胞数12.4×104/μlで好酸球が63.0%.胸・腹部レ線にて異常陰影を認めず,心電図や超音波心臓検査でも異常なし.各種寄生虫抗体も陰性.組織では真皮浅層の血管周囲を中心に好酸球の著明な浸潤がみられ,多くはEG2陽性.好酸球数および血清ECP値の漸減に伴い症状は次第に軽快し,抗ヒスタミン剤,抗アレルギー剤の内服開始以降皮疹の新生をみない.Gleichらのepisodic angioedema associated with eosinophiliaのほかに,膨疹・浮腫が数力月続くのみでステロイド投与の必要のないtransientな軽症型のあることを強調した.
  • 池田 志斈, 小川 秀興
    1993 年 103 巻 4 号 p. 539-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    保存的あるいは通常の外科的治療に抵抗する3症例4個の血行障害性皮膚潰瘍に対して自家真皮を移植し,その効果について検討した.その結果4個のうち3個(症例1と3)の潰瘍は,治療開始後約2.5から8ヵ月後に治癒した.しかし耐性ブドウ球菌感染がみられた残りの症例2の潰瘍では,2回植皮を施行したが,2ヵ月の経過観察中縮小はみられなかった.本法は,①2次感染があり腱や骨が露出しているような深く汚い潰瘍で,②従来なら患肢の切断が適応となるような重症例を,③簡単なテクニックをもって救済しようとするものである.
  • 1993 年 103 巻 4 号 p. 543-
    発行日: 1993年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
feedback
Top