日本皮膚科学会雑誌
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Bone marrow granulomaを認めたDDS症候群の1例
内田 雅之森川 光也横井 寿永田 紘一郎早川 清順
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1994 年 104 巻 10 号 p. 1259-

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抄録

4,4'-diaminodiphenyl sulfone(以下DDS)による最も重篤な副作用であるDDS症候群の1例を報告した.患者は56歳,男性.慢性湿疹のためDDS75mg/日を内服開始約5週間後より高熱,全身のびまん性粟粒大丘疹および紅斑,黄疸,リンパ節腫脹,下痢が出現した.血液検査にて白血球増多,異型リンパ球増多,肝機能障害,腎機能障害を認めた.臨床的に伝染性単核症と,また病理組織学的に皮膚ではT cell lymphoma,リンパ節ではimmunoblastic lymphadenopathy(IBL),骨髄では結核などとの鑑別が問題となった.しかしDDS内服の既往,臨床像,DDSによるリンパ球刺激試験陽性などの検査所見,病理組織像より自験例をDDS症候群と診断した.骨髄生検でみられた中心壊死を伴わないgranuloma多発と好酸球の増生という所見は本症では従来,報告されていない.自験例はステロイドによるパルス療法にて救命し得たが,経過中に一時症状の再燃を認めた.

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© 1994 日本皮膚科学会
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