日本皮膚科学会雑誌
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蜂窩織炎原因菌検出に関する検討 ―A群β溶血性連鎖球菌マウス実験的感染症とPCRの応用―
下江 敬生
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1994 年 104 巻 12 号 p. 1427-

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抄録

原因菌を皮膚病変から直接に検出することが困難とされている蜂窩織炎の感染モデルを作成し,菌の検出方法について検討した.従来から報告されている,皮膚生検法,needle aspiration法と切開圧迫法の3法で感染モデル病巣内のA群β溶血性連鎖球菌(A群溶連菌)の培養による検出限界を比較した.皮膚生検法は他の2法に比べ,有意に菌の検出率が高かった.さらに少量の菌を検出するため,A群溶連菌のM蛋白を支配する染色体遺伝子の塩基配列からプライマーを作成し,PCR法で蜂窩織炎モデル病巣内の菌を確認する方法を検討した.血液寒天培地のA群溶連菌では10CFU以下の菌の存在で目的の遺伝子が検出できたが,病変部組織からは50CFUの菌量が必要であり,その感度は皮膚生検法に比べ劣っていた.しかし抗菌薬を投与したマウスでは生検法で検出される菌量は減少したが,PCR法での感度は上昇した.

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© 1994 日本皮膚科学会
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