1994 年 104 巻 12 号 p. 1421-
アナフィラクトイド紫斑病と溶連菌(Stretococcus pyogenes)の関連性につき検討した.患者30例のS. pyogenes菌体成分に対する血清IgA抗体価は健常人と比べて有意に高かった.とくに扁桃S. pyogenes陽性患者では抗体価が高い傾向があり,より多数の菌体成分と反応するIgA抗体が認められた.そこで菌陽性患者血清よりポリエチレングリコール沈澱法で免疫複合体を分離し,ゲル電気泳動,イムノブロット法を用いて分析した結果,沈澱物中にIgAとともに抗S. pyogenes抗体と反応する成分が検出された.さらに菌陽性患者の紫斑部の真皮上層に抗S. pyogenes抗体で染色される物質が認められた.これらの結果から,S. pyogenesの菌体成分がアナフィラクトイド紫斑病の発症抗原として働く可能性が示唆された.