日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
アンケート調査にみられた静岡県下の学童・生徒のアトピー性皮膚炎(第1報)―アトピー性皮膚炎の有病率―
宇佐神 治子宇佐神 篤石田 岳志大橋 勝
著者情報
ジャーナル 認証あり

1994 年 104 巻 2 号 p. 89-

詳細
抄録
一般社会の学校集団におけるアレルギー疾患の実態を明らかにするために,静岡県下65の小・中・高校生約5万人に,アレルギーに関するアンケート調査を行った.本稿では,そのうちアトピー性皮膚炎(AD)の小1から高3までの有病率につき,学年別,性別に,鼻アレルギー,眼アレルギー,喘息と比較した.また小・中・高校の各1校でADについての学校検診を行った.ADにつき以下のことがわかった.1.ADの有病率は小学1,2年で約22%であり,学年が進むに伴い一律に漸減して,高3では4%であった.思春期にピークはなかった.検診の成績はこれを裏付けた.2.すべての学年で女子の有病率が男子より高かった.検診の成績はこれを裏付けた.3.ADの有病率にみられたこれら二つの特徴は,同時に行った調査で得られた鼻アレルギー,眼アレルギー,喘息の有病率でみられた共通の特徴とは異なっていた.AD以外の3疾患では小・中学生の有病率は男子が女子より高く経過し,思春期のある学年でその有病率は逆転した.ADと他の3疾患との間にみられた,性別学年別の有病率の推移および性比の違いは,ADが他の3疾患とは異なった遺伝素因によって発病していることを示唆する知見の一つと考えた.4.学校検診時,アンケートでADと診断された学童・生徒の半数にADの皮疹を認めた.その大多数は軽症例であった.
著者関連情報
© 1994 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top