抄録
Menkes' kinky hair症候群の3ヵ月男児の皮膚および毛髪のSH基,S-S結合の挙動についてDACM染色法を用いて検討した.患児皮膚のDACM染色では,正常皮膚と比較してSH基およびS-S結合の分布共に差は認められなかった.一方患児毛髪のDACM染色では,正常毛髪と比較してSH基に由来する蛍光強度に差は認められなかったものの,S-S結合に由来する蛍光の著しい減弱が認められた.このことより,患児毛髪においてはSH基からS-S結合への転換障害が示唆された.また患児毛髪の銅含有量は正常毛髪と比較して減少していた.SH基からS-S結合への転換はskin sulfhydry oxidase(SSO)の酵素反応によることが推定されている.SSOは銅酵素であることから,Menkes' kinky hair症候群の毛髪の形態異常すなわちkinky hairは頭髪部における銅含有量低下によるSSOの活性低下に由来する可能性が示唆された.