日本皮膚科学会雑誌
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104 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 須賀 康, 石堂 一巳, 森岡 真治, 高森 建二, 木南 英紀, 小川 秀興
    1994 年 104 巻 2 号 p. 77-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    順天堂大学水疱症外来における優性栄養障害型表皮水疱症の一家系3症例の患者で,既に報告されているⅦ型コラーゲンのNC1ドメインに注目し,Polymerase Chain Reactionを利用したSingle-Strand Conformation Polymorphism,及びRestriction Fragment Length Polymorphismによる解析を施行した.3症例のPCR産物は,PCR-SSCPにおいて正常人とは明らかに異なる泳動像を示し,PCR-RFLPでは制限酵素PvuⅡによる多型性を示した.以上の結果は,優性栄養障害型表皮水疱症患者におけるⅦ型コラーゲンの遺伝子変異が,これらの解析方法により従来より容易に検出できる可能性を示唆するものである.
  • 山田 裕道, 種田 明生, 高森 建二, 小川 秀興
    1994 年 104 巻 2 号 p. 83-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    Menkes' kinky hair症候群の3ヵ月男児の皮膚および毛髪のSH基,S-S結合の挙動についてDACM染色法を用いて検討した.患児皮膚のDACM染色では,正常皮膚と比較してSH基およびS-S結合の分布共に差は認められなかった.一方患児毛髪のDACM染色では,正常毛髪と比較してSH基に由来する蛍光強度に差は認められなかったものの,S-S結合に由来する蛍光の著しい減弱が認められた.このことより,患児毛髪においてはSH基からS-S結合への転換障害が示唆された.また患児毛髪の銅含有量は正常毛髪と比較して減少していた.SH基からS-S結合への転換はskin sulfhydry oxidase(SSO)の酵素反応によることが推定されている.SSOは銅酵素であることから,Menkes' kinky hair症候群の毛髪の形態異常すなわちkinky hairは頭髪部における銅含有量低下によるSSOの活性低下に由来する可能性が示唆された.
  • 宇佐神 治子, 宇佐神 篤, 石田 岳志, 大橋 勝
    1994 年 104 巻 2 号 p. 89-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    一般社会の学校集団におけるアレルギー疾患の実態を明らかにするために,静岡県下65の小・中・高校生約5万人に,アレルギーに関するアンケート調査を行った.本稿では,そのうちアトピー性皮膚炎(AD)の小1から高3までの有病率につき,学年別,性別に,鼻アレルギー,眼アレルギー,喘息と比較した.また小・中・高校の各1校でADについての学校検診を行った.ADにつき以下のことがわかった.1.ADの有病率は小学1,2年で約22%であり,学年が進むに伴い一律に漸減して,高3では4%であった.思春期にピークはなかった.検診の成績はこれを裏付けた.2.すべての学年で女子の有病率が男子より高かった.検診の成績はこれを裏付けた.3.ADの有病率にみられたこれら二つの特徴は,同時に行った調査で得られた鼻アレルギー,眼アレルギー,喘息の有病率でみられた共通の特徴とは異なっていた.AD以外の3疾患では小・中学生の有病率は男子が女子より高く経過し,思春期のある学年でその有病率は逆転した.ADと他の3疾患との間にみられた,性別学年別の有病率の推移および性比の違いは,ADが他の3疾患とは異なった遺伝素因によって発病していることを示唆する知見の一つと考えた.4.学校検診時,アンケートでADと診断された学童・生徒の半数にADの皮疹を認めた.その大多数は軽症例であった.
  • 宇佐神 治子, 宇佐神 篤, 石田 岳志, 大橋 勝
    1994 年 104 巻 2 号 p. 99-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    第1報で報告した学校集団のアトピー性皮膚炎(AD)について,さらに以下のことがわかった.1.ADの誕生月別有病率は多少の変動はあるが,一定の傾向は認められなかった.またすべての月で女子の有病率が男子より高かった.2.ADの増悪する季節を調べたところ冬に増悪する数が特に多く,秋は特に少なかった.3.AD患者が季節別に増悪する割合は低学年と高学年では異なっていた.低学年になるほど冬の増悪率は著明に高かった.夏の増悪率は低学年で著明に低かった.一年中症状のあるADの割合は学年区分(3学年別)が進むにしたがって高くなり,小学1~3年では20.5%,高校では25.5%であった.中学・高校生のADの増悪率は夏と冬および「一年中」で高かった.秋はすべての学年区分で増悪率は最も低かった.また増悪率はすべての季節でほぼ一定して小学1~3年>小学4~6年>中学>高校の順であるか,または全くその逆であるかのいずれかであった.4.肘窩,または膝■に皮疹が生じる割合は低学年で低く,学年が進むにしがって高くなった.5.ADが鼻アレルギー,眼アレルギー,喘息を合併する割合(既往を含む)は小学4~6年以上では一定して約52%であった.ADがこれらの3疾患を合併する割合の推移は,ADの遺伝素因が気道アレルギーの遺伝素因とは別のものであることを示唆する知見の一つと考えた.
  • 石川 治, 宮地 良樹
    1994 年 104 巻 2 号 p. 105-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    Diaminodiphenyl sulfone(DDS)を円板状エリテマトーデス(DLE)3例,播種状エリテマトーデス(WDLE)1例,深在性エリテマトーデス(LEP)2例,全身性エリテマトーデス(SLE)4例に投与し,皮疹に対する効果および副腎皮質ホルモン内服治療の補助薬としての有用性を臨床的に検討した.DLE型皮疹では5例中4例,LEPでは2例中1例に皮疹の改善が見られ,副作用はLEP1例に貧血が認められた.SLEでは4例中3例に内服開始4~9日後に発熱,表在性リンパ節腫脹を主体とするDDS症候群様症状が発症し,臨床効果を評価するに至らなかった.以上の結果から本剤はDLEおよびLEP型皮疹に対しては,試みる価値のある薬剤と考えられた.しかし,今回の副作用の頻度を考えた場合,SLEに対する有用性については今後更に検討すべきであろう.
  • 山崎 百合子, 宇原 久, 河内 繋雄, 斎田 俊明, 大久保 正己, 松本 晶博, 袖山 健, 清澤 研道
    1994 年 104 巻 2 号 p. 109-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    C型肝炎の合併がみられた晩発性皮膚ポルフィリン症の3症例を報告した.症例は62,47および58歳の男性で,いずれも飲酒歴がありうち1例は輸血歴があった.皮疹としては,露光部に色素沈着,色素脱失,びらん,小瘢痕が認められた.軽度から中等度の肝機能障害があり尿中コプロポルフィリン,ウロポルフィリンの上昇がみられた.また,3例ともC型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性で,肝組織像では2例は慢性持続性肝炎,1例は慢性活動性肝炎の像を呈していた.1例はのちに肝細胞癌で死亡した.以上3症例の経験からHCVの感染も本症発症の重要な一因子として考慮されるべきものと考えた.
  • 木村 鉄宣, 宮澤 仁
    1994 年 104 巻 2 号 p. 113-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    最近経験したFolliculosebaceous cystic hamartomaの2例を報告する.2例ともFolliculosebaceous cystic hamartomaの病理組織学的診断基準を満たすが,1例では嚢腫様構築が表皮へ開口し,他の1例では上皮成分をとりまく線維性の間質が乏しいという特徴をもっている.Folliculosebaceous cystic hamartomaは病理組織学的に際立った特徴があり,Sebaceous trichofolliculomaとは臨床像および病理組織像で鑑別診断が可能である.Sebaceous trichofolliculomaやSebaceous gland hyperplasiaの報告例のなかにはFolliculosebaceous cystic hamartomaと診断することが妥当な例がある.Sebaceous folliculomaはFolliculosebaceous cystic hamartomaと同義語と考える.
  • 秋山 尚範, 多田 譲治, 鳥越 利加子, 阿部 能子, 下江 敬生, 神崎 寛子, 荒田 次郎
    1994 年 104 巻 2 号 p. 119-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    27歳女性のアトピー性皮膚炎患者の皮膚病変よりStaphylococcus aureusを定量的に検出した.Cefdinir(CFDN)13日間投与後,皮膚病変表面はmethicillin-sensitive S. aureus(MSSA)からmethicillin-resistant S. aureus(MRSA)に菌交代した.さらにtosufloxacin(TFLX)+Cefazolin(CEZ),imipenem(IPM)+cefotiam(CTM)を各々2日間追加投与後,増殖速度が極めて遅いMRSAが検出された.このMRSAはMueller-Hinton寒天培地37℃で72時間後に初めて小コロニーを形成した.mec A geneは陽性でceftizoxime(CZX)25μg/ml含有平板では24時間後小コロニーを認めた.微量液体希釈法によるoxacillin(MPIPC)の最小発育阻止濃度(MIC)では,35℃,24時間判定で0.06μg/ml>と判定された.このようなMRSAは臨床検査室による一般細菌検査では見逃す可能性もあり注意が必要である.
  • 須藤 成章
    1994 年 104 巻 2 号 p. 123-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    出産後にMRSAによるdvを発症した15例の女性について報告した.出産後数ヵ月以内に発症するものが多く,多発するか再発を繰り返した.家族内で同症が認められ,MRSAが検出されたものが5例あった.経産婦の過去の出産後も含め今迄同症の経験は無かった.これらの概要を報告するとともに発症機序および臨床的意義について考察を加えた.
  • 1994 年 104 巻 2 号 p. 127-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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