日本皮膚科学会雑誌
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爪母組織の角化とその構成細胞の分化の特性
北原 隆
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1995 年 105 巻 2 号 p. 113-

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抄録
従来我々は,ケラチン組成を解析することにより,爪は皮膚角質細胞と毛髪構成細胞の角化特性を併せ持つ興味深い組織であることを報告してきた.本報告では,ケラチン以外に皮膚角質の分化マーカーであるフィラグリンおよび毛髪組織の分化マーカーであるhigh-sulfur-proteinsについて,爪母組織におけるこれらの発現を検討した.また爪母組織で認められた角化特性を培養系を用いて更に詳細に検証した.その結果,①後爪廓表皮部分から爪母背側部さらに爪根部の大部分にフィラグリンが分布すること.②high-sulfur-proteinsは爪母腹側部上層から爪甲部にかけて分布することが示された.これらの結果は,我々が既に報告したケラチンの発現パターンからみた解析結果,即ち爪母では皮膚角質様および毛髪様の角化様式を示す細胞が存在することを別のマーカーを用いて確認するものであった.更に,③爪母の毛髪様細胞を培養すると,毛髪ケラチンに加え皮膚角質に特異なK1/K10ケラチンも発現されることが認められた.
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© 1995 日本皮膚科学会
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