日本皮膚科学会雑誌
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続発性副甲状腺機能亢進症を伴った結節性痒疹の1例
今井 健松永 剛横関 博雄片山 一朗西岡 清
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1995 年 105 巻 6 号 p. 835-

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抄録
カルシウムの摂取不足に起因すると考えられる続発性副甲状腺機能亢進症に伴った結節性痒疹の61歳女性例を報告した.50歳時,左上腕に痒みを伴う小丘疹出現.以後2~3年の間に結節が全身に拡大.初診時,皮膚は乾燥し,顔面,胸部の一部を除くほぼ全身に,小指頭大から母指頭大までの結節が多発してみられ,摂取不足に起因すると考えられる血清Caの低下(7.7mg/dl),アルカリフォスファターゼの上昇(450U/l),副甲状腺ホルモンの上昇(266pg/ml)を認めた.入院後,痒疹結節はステロイド剤外用および抗ヒスタミン剤内服に抵抗性であったが,乳酸カルシウム3g/日の投与によりCa代謝の正常化と副甲状腺ホルモンの低下を認め,これに伴い痒みの軽減と結節の扁平化を認めた.結節性痒疹は種々の全身性疾患に伴って発生することが知られているが,自験例では痒みの発現に副甲状腺ホルモンの関与が考えられた.
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© 1995 日本皮膚科学会
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