抄録
悪性黒色腫30例を5年以上生存群20例と5年以内死亡群10例に分け,性,年齢,発生部位,病型,level,thickness,所属リンパ節転移の有無,および顕微蛍光測光法により測定した細胞核DNA量(DNA index)の8項目の因子による判別分析を行った.解析の結果,両群には有意の差が認められた(p<0.01).線形判別関数の標準化判別係数は,DNA indexが最大で,所属リンパ節転移,病型,levelがこれに次いだ.DNA indexは両群の判別に関して有意に寄与していた(p<0.05).算出した判別関数にて30例中27例(90%)が正しく判別され,モデルは妥当なものと考えられた.細胞核DNA量は5年生存の判別に寄与する最も重要な予後決定因子であることが示された.