日本皮膚科学会雑誌
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105 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 貝瀬 明
    1995 年 105 巻 6 号 p. 813-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    モルモット背部の実験白癬の治癒機転を明らかにするため,Trichophyton mentagrophytes SM-110株をwet disc inoculation methodにより接種して経時的に生検し,組織変化を観察するとともに,periodic acid Schiff染色により菌の感染状態を,また,bromodeoxyuridine(BrdU)染色により表皮および毛器官の細胞動態を検討した.さらに毛包間表皮,毛漏斗部,毛峡部,毛球部のAuber限界線以下の4部分について,接種14,16日後のBrdU-labeling index(LI)を算定した.真皮上層から表皮にかけての炎症反応は接種14日後に極期を迎え表皮は肥厚,角化亢進を示した.16日後に毛球部の多くが萎縮し,毛包は退行変化を開始した.毛に感染した菌は,全経過中,毛皮質角化帯まで侵入した.経過中,毛球を含む下部毛器官周囲にはほとんど細胞浸潤を認めなかった.表皮から毛峡部の基底層のBrdU陽性細胞は14日後まで経時的に増加し,毛球部でも一時的増加をみたが,16日後には毛峡,毛球部の陽性細胞は減少した.これはBrdU-LIでも確認された.以上より,モルモット背部白癬において,菌は皮膚角層さらに毛孔~毛皮質角化帯に侵入するが,表皮および毛包上皮細胞の増殖性変化が誘導され,さらに毛器官が退縮することにより,菌が排除され治癒するものと考えられた.毛器官の感染菌は直接に毛球部の細胞動態に影響しているものと思われた.
  • 山本 俊幸, 片山 一朗, 西岡 清
    1995 年 105 巻 6 号 p. 825-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
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    乾癬患者末梢血リンパ球の,細菌由来staphylococcal enterotoxin A-B-C1(SEA-SEB-SEC1)に対する反応性と,リウマトイド因子,抗核抗体,血清IgG,PASI score値,HLA,関節痛の有無,治療歴との関連性につき検討した.乾癬患者リンパ球のSEBに対する反応は健常人に比し有意に上昇しており,関節痛を伴う群にS.I. (Stimulation Index)値が高い傾向が認められた.S.I.はPASI scoreと正の相関関係が認められたが,血清IgGやHLAとの関連性は認められなかった.さらに,ステロイド使用歴の長期にわたる患者ほどS.I.の高い傾向がみられ,superantigenが乾癬の発生,進展,および関節痛などの全身症状の発現になんらかの関与をしていることが示唆され,長期のステロイド使用はその傾向を助長する可能性が考えられた.
  • 梅林 芳弘, 大塚 藤男
    1995 年 105 巻 6 号 p. 829-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    悪性黒色腫30例を5年以上生存群20例と5年以内死亡群10例に分け,性,年齢,発生部位,病型,level,thickness,所属リンパ節転移の有無,および顕微蛍光測光法により測定した細胞核DNA量(DNA index)の8項目の因子による判別分析を行った.解析の結果,両群には有意の差が認められた(p<0.01).線形判別関数の標準化判別係数は,DNA indexが最大で,所属リンパ節転移,病型,levelがこれに次いだ.DNA indexは両群の判別に関して有意に寄与していた(p<0.05).算出した判別関数にて30例中27例(90%)が正しく判別され,モデルは妥当なものと考えられた.細胞核DNA量は5年生存の判別に寄与する最も重要な予後決定因子であることが示された.
  • 今井 健, 松永 剛, 横関 博雄, 片山 一朗, 西岡 清
    1995 年 105 巻 6 号 p. 835-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    カルシウムの摂取不足に起因すると考えられる続発性副甲状腺機能亢進症に伴った結節性痒疹の61歳女性例を報告した.50歳時,左上腕に痒みを伴う小丘疹出現.以後2~3年の間に結節が全身に拡大.初診時,皮膚は乾燥し,顔面,胸部の一部を除くほぼ全身に,小指頭大から母指頭大までの結節が多発してみられ,摂取不足に起因すると考えられる血清Caの低下(7.7mg/dl),アルカリフォスファターゼの上昇(450U/l),副甲状腺ホルモンの上昇(266pg/ml)を認めた.入院後,痒疹結節はステロイド剤外用および抗ヒスタミン剤内服に抵抗性であったが,乳酸カルシウム3g/日の投与によりCa代謝の正常化と副甲状腺ホルモンの低下を認め,これに伴い痒みの軽減と結節の扁平化を認めた.結節性痒疹は種々の全身性疾患に伴って発生することが知られているが,自験例では痒みの発現に副甲状腺ホルモンの関与が考えられた.
  • 佐藤 まどか, 横山 洋子, 樋口 忠義, 石川 治, 宮地 良樹, 小林 富男, 小林 敏宏, 祐川 和子, 折居 忠夫
    1995 年 105 巻 6 号 p. 841-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    ムコ多糖症(MPS)Ⅱ型,Hunter症候群のうち,臨床症状の著しい重症型(MPSIIA)の1例を報告した.症例は6歳,男児.1歳半頃より精神運動発達遅延あり,4歳時,ガーゴイリズム顔貌と四肢関節拘縮,短指,多毛,臍ヘルニア,肝脾腫,精神遅滞,僧帽弁閉鎖不全を指摘された.当時,当院小児科にてムコ多糖症を疑われるも,確定診断には至らなかった.今回皮膚科受診となり,尿および培養線維芽細胞のムコ多糖分析を行った.その結果,尿中および線維芽細胞層におけるデルマタン硫酸由来の構成二糖の増加が認められた.さらに培養線維芽細胞にてiduronate sulfatase活性の著明低下が確認された.
  • 並里 まさ子
    1995 年 105 巻 6 号 p. 847-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    54歳,女性.小児期に発症し,DDS単剤にて寛解に至る.約11年後顔面の不快感と腫脹感が生じ,徐々に増強した.さらに4年後,ほぼ全身に紅色皮疹が出現し,皮膚の菌検査は陰性で,B群類似の病状と推測された.翌年菌検査が陽性化し,さらに数年後多数のらい腫性の結節を形成した.顔面の高度の知覚,運動麻痺と,全身に広範な知覚障害を来した.軽微な顔面症状の出現以後,的確な化学療法の機会を失してdowngradingが進んだものと考えられた.長期間寛解状態にある症例において,何らかの症状の変化が見られた時,それが菌検査陰性であっても,それ以前の化学療法の見直しが必須であり,早期の対応が遅れると,本例のように重度の障害を残す結果となる.また使用されたDDSとclofazimineは,その使用方法に十分な注意が必要であり,いずれも他剤との併用で用いるべきである.
  • 1995 年 105 巻 6 号 p. 855-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 1995 年 105 巻 6 号 p. 896-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 1995 年 105 巻 6 号 p. 927-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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