日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
薬剤アレルギーの新しいin vitro診断の試み ―患者末梢血単核球をin vitroで薬剤と接触させた際のIL-1βの上昇をみる方法について―
深谷 元継
著者情報
ジャーナル 認証あり

1995 年 105 巻 9 号 p. 1203-

詳細
抄録

最近リンパ球表面マーカーやサイトカインに関する知見の進歩は著しく,以前は微量なため定量的な測定が困難であったサイトカインについても市販キットが続々発売されている状況にある.一方薬剤アレルギーのin vitro検査法としては依然3H-Tymidine取り込みによるリンパ球幼若化試験(LST,lymphocyte Stimulation Test)が主体であり,感度の低いことがしばしば指摘される.そこで著者らはこの検査の感度上昇を図る目的で,薬剤が単球及び感作リンパ球と接触した際の培養上清のIL-1βと,活性化T細胞とされるCD3陽性かつHLA-DR抗原陽性細胞の比率とを測定してみた.その結果薬剤添加によりIL-1βが著増を示したが3H-Tymidine取り込みによるリンパ球幼若化試験は陰性であった症例が8例中1例に見つかり,薬剤添加後のIL-1βの測定がLST陰性例における補足的な検査法としてin vitroの薬疹検査の陽性率を向上させる可能性があると考えたので報告した.

著者関連情報
© 1995 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top