日本皮膚科学会雑誌
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105 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 澤田 俊一, David H. Viskochil
    1995 年 105 巻 9 号 p. 1187-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    10名のNeurofibromatosis 1(NF1)患者の末梢血白血球分画より抽出したconstitutional DNAを被験対象としてNF1遺伝子変異の解析を行った.NF1遺伝子には現在59のエクソンが確認されているが,今回我々はそのうちエクソン40から49までの11エクソンについて,13の領域を増幅するNF1エクソン特異的プライマーを設定しpolymerase chain reaction(PCR)法を行い,さらに21M13,M13RP1ユニバーサルプライマーを用いて,size-shift assay,single strand conformation polymorphism(SSCP)法,magnetic beadsを利用したdirect sequence法で遺伝子変異の解析を行った.結果は1症例で,エクソン44においてNF1 disease causingと思われるNF1遺伝子の変異を確認した.この変異はcDNAポジション7712から7720までの9bpの欠失と,あわせて同部位に2bpが挿入された結果,7bpのフレームシフトを起こしコードする蛋白が異なり,32コドン下流でストップコドンの出現をみている.また我々は,イントロン40においてポリモルフィズムを検出した.今回の結果より,我々が確立したこの実験系が,NF1遺伝子変異の解析について有用であることが証明された.また21M13,M13RP1ユニバーサルプライマーならびにmagnetic beadsを利用したこの実験系はNF1遺伝子変異の解析のみならず,他の遺伝性疾患のDNA診断,感染症のDNA診断等にも有力な実験系であると考え報告した.
  • 冉 玉平
    1995 年 105 巻 9 号 p. 1197-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    Candida albicans proteinase(CAP)が白血球を感染局所に遊走させるかどうかの可能性をin vitroとin vivoの実験系をもちいて検討した.chemotactic activityはヒト末梢血から得られた好中球とリンパ球についてmodified Boyden chamber法で測定した.その結果,CAPは濃度依存的に好中球を遊走させ,500nMの濃度で対照に比較し最大走化活性を示した(p<0.001).CAPの走化活性は酵素を100℃10分間処理することで減少した.またcheckerboard解析によりCAPはchemotaxisだけでなくchemokinesis作用もあることが判明した.リンパ球の遊走活性はCAPによりわずかしか上昇しなかった.つぎにCAP 2μgをモルモットの真皮内に注射し,3時間後の皮膚を採取し組織学的に浸潤細胞数を測定した.CAP注射により一視野平均29個の好中球の浸潤があり,phosphate buffered saline(PBS)注射(平均3個)に比較して有意に増加していた(P<0.05).一方,リンパ球ではCAP注射群とPBS注射群の間に有意な差は認められなかった.以上の結果から,CAPはタンパク分解酵素として生体の組織破壊に関与するが,一定量以上産生された場合,あるいは皮膚においては菌が角層深部に侵入し表皮のliving cell layerに近づいた場合には,生体防御を担当している好中球の認識するところとなり,その感染局所への遊走を惹起させることが示唆された.
  • 深谷 元継
    1995 年 105 巻 9 号 p. 1203-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    最近リンパ球表面マーカーやサイトカインに関する知見の進歩は著しく,以前は微量なため定量的な測定が困難であったサイトカインについても市販キットが続々発売されている状況にある.一方薬剤アレルギーのin vitro検査法としては依然3H-Tymidine取り込みによるリンパ球幼若化試験(LST,lymphocyte Stimulation Test)が主体であり,感度の低いことがしばしば指摘される.そこで著者らはこの検査の感度上昇を図る目的で,薬剤が単球及び感作リンパ球と接触した際の培養上清のIL-1βと,活性化T細胞とされるCD3陽性かつHLA-DR抗原陽性細胞の比率とを測定してみた.その結果薬剤添加によりIL-1βが著増を示したが3H-Tymidine取り込みによるリンパ球幼若化試験は陰性であった症例が8例中1例に見つかり,薬剤添加後のIL-1βの測定がLST陰性例における補足的な検査法としてin vitroの薬疹検査の陽性率を向上させる可能性があると考えたので報告した.
  • 深谷 元継
    1995 年 105 巻 9 号 p. 1209-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    皮膚筋炎の一部にCPK/LDH比の低い一群があり,しばしば急速に増悪し不幸の転帰をとる間質性肺炎を合併することが報告されている.対策として早期からの十分な免疫抑制療法が必要とされているが,このようなCPK低値の皮膚筋炎は,そもそも早期診断が困難な上に活動性の指標がはっきりしないためステロイドの初期投与量や減量の目安が把握しにくい.我々はこの点の解決のため患者末梢血リンパ球の表面マーカーのいくつかを経時的に測定した結果,活性化リンパ球とされているCD3/HLA-DR double positive細胞比率及びNK細胞とされているCD16 positiveまたはCD57 positive細胞比率の上昇が間質性肺炎増悪の判断に有用な可能性があると考えたので報告した.
  • 近藤 知子, 奥田 峰広, 芋川 玄爾
    1995 年 105 巻 9 号 p. 1217-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    食器用洗浄剤の洗浄能力を損なわずに添加できる手荒れ緩和剤としてモノグリセライドを見出した.本報告はモノグリセライドの手荒れ軽減効果及びその作用メカニズムを明らかにすることを目的とする.界面活性剤アルキルグリコシド,ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム,アミンオキサイドからなる洗浄液に1日1回4日間手部を浸漬処理することにより落屑が誘発されたが,この落屑はモノグリセライドを5%配合することにより有意に抑制された.落屑軽減のメカニズムを検討するため洗浄処理により皮膚から流出する成分を測定した結果,皮表脂質,アミノ酸,セラミドの流出が認められた.このうちセラミドの流出はモノグリセライド配合濃度に依存して有意に抑制された.洗浄後のセラミド残留量と洗浄20分後の皮膚コンダクタンスは高い相関を示した.一方,皮脂膜構成脂質及びアミノ酸は洗浄処理により流出したが,モノグリセライドの配合による流出量の変化はわずかであり,皮膚コンダクタンスとの相関も低かった.また洗浄処理を行った角層からは界面活性剤が検出されたが,モノグリセライドを配合することにより各界面活性剤の皮膚への残界も抑制された.以上の結果より洗浄系へのモノグリセライドの配合はセラミドの流出を抑制することにより角層の水分保持能の低下を防ぎ,手あれを軽減することが示唆された.
  • 大柳 小百合, 谷口 芳記, 大柳 聡, 清水 正之
    1995 年 105 巻 9 号 p. 1227-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    43歳,男性.1歳頃より全身に水疱・びらんが多発,反復した.14歳時,当科にて,Reverdin氏法による植皮術を受けた.1991年6月に全身の水疱・びらん・潰瘍が悪化し,当科に入院した.臨床所見では,全身に散在するびらん及び脱毛,爪脱落,歯牙異常を認めた.新鮮水疱の電顕所見では,基底細胞内の極めて細胞膜に近い部位での分離が認められ,一部は基底板(basal lamina)上で分離していた.これをjunctiolytic tornoff phenomenonと考え,接合部型に酷似した特異な単純型表皮水疱症と診断した.治療は,頸部・肩などの難治性の潰瘍に対し,Reverdin氏法による植皮術を行った.採皮部・植皮部ともに速やかに上皮化が認められ,先天性表皮水疱症における簡便で有効な手術治療法であると考えられた.
  • 1995 年 105 巻 9 号 p. 1233-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
  • 1995 年 105 巻 9 号 p. 1288-
    発行日: 1995年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
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