日本皮膚科学会雑誌
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亜鉛欠乏マウスの皮膚病変形成におけるアポトーシスの関与
森 聖松本 義也大橋 勝玉田 康彦
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1996 年 106 巻 1 号 p. 15-

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抄録

亜鉛欠乏マウスを用いて,発育や表皮の変化を観察したところ,体重の減少,眼囲の浮腫,尾部や四肢末端のびらんが認められ,ヒトの亜鉛欠乏症と同様の臨床像を示した.表皮は不全角化と著しい肥厚を示し,有棘細胞の核は一部凝縮していた.これら亜鉛欠乏マウスにおける表皮細胞の変化とアポトーシスの関連を調べるためTUNEL法と,Lewis-Yモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色を行った.TUNEL法では散在性に有棘細胞の核が染色され,Lewis-Y染色でも表皮細胞の細胞質に陽性所見が認められた.以上より亜鉛欠乏マウスでは,核の凝縮を伴い,表皮の肥厚をきたす皮膚病変の形成に,表皮細胞のアポトーシスが関与している可能性が示唆された.亜鉛欠乏とアポトーシスに関して文献的考察を加えて報告した.

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© 1996 日本皮膚科学会
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