日本皮膚科学会雑誌
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同種骨髄移植後急性皮膚GVHD:自験30例の免疫組織学的検討
菊池 新西川 武ニ岡本 真一郎池田 康夫
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1996 年 106 巻 8 号 p. 1065-

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抄録

慶應義塾大学病院において1992年~1995年に経験した骨髄移植後急性皮膚GVHD30症例につき,免疫組織学的検討を行った.臨床的・病理組織学的に診断した急性皮膚GVHD病変皮膚のCD1a,HLA-DR,ICAM-1,VCAM-1,ELAM-1の発現,および浸潤細胞の表面マーカーの発現につき検討を行った.その結果,表皮内ランゲルハンス細胞数は病理組織学的重症度が進むにつれ著減し,一方表皮内ICAM-1の発現は組織学的重症度が進むにつれ亢進していた.真皮の細胞浸潤の主体はT細胞からなり,CD4陽性のT細胞が真皮全層性に認められたのに対し、CD8陽性のT細胞の浸潤は真皮浅層~表皮内に限局していた.また真皮の血管内皮細胞は約半数の症例でVCAM-1,ELAM-1を発現していた.以上の所見より免疫組織学的所見は急性皮膚GVHDの診断においても有用と考えられた.

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© 1996 日本皮膚科学会
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