日本皮膚科学会雑誌
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内診によりアナフィラキシーショックをおこしたラテックスアレルギーの1例
北村 浩之井関 宏美三家 薫堀尾 武
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1998 年 108 巻 11 号 p. 1465-

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抄録

分娩に際してゴム手袋を使用した医師の内診を受け,アナフィラキシーショックをおこした29歳女性の症例を報告する.内診直後より,全身に痒み,紅斑,膨疹を生じ,悪心,嘔吐,血圧低下,胎児徐脈を認め緊急帝王切開にて出産した.精査の結果,腟粘膜より吸収されたラテックスによるアナフィラキシーショックと判明した.ラテックスの水溶性蛋白によるIgE-mediated allergyにより引き起こされる即時型アレルギーは多彩な症状を示し,なかでもアナフィラキシーショックのような重篤な症例も多数報告されている.本症が分娩中に起こることは,母体のみならず胎児にも大きな影響を及ぼすためその予防は重要な課題である.分娩中の発症は,海外では数例の報告をみるが本邦ではわれわれが調べ得る限り第1例であったので報告する.

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© 1998 日本皮膚科学会
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