日本皮膚科学会雑誌
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毛包上皮腫におけるケラチン発現の免疫組織化学的検討
賈 青大西 誉光黒谷 篤之渡辺 晋一
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1998 年 108 巻 6 号 p. 837-

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抄録

10例の毛包上皮腫(epithelioma adenoides cysticum 5例,単発例5例)について,22種類の抗ケラチンモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討を行った.腫瘍胞巣および角質嚢腫の染色態度は各々正常毛嚢の外毛根鞘と漏斗部と同様であった.CK8および19の発現は毛嚢では固定部と変動部の移行部付近の外毛根鞘最外層にみられ,同部にはfollicular stem cellが含まれていると考えられるが,自験例も種々の割合で腫瘍胞巣辺縁が染色された.以上より毛包上皮腫はまず固定部と変動部の移行部の外毛根鞘最外層へ分化し,一部はそれ以外の毛嚢組織へ分化しているものと推測された.また,多発例と単発例の間に染色性の顕著な差は認められなかった.

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© 1998 日本皮膚科学会
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