日本皮膚科学会雑誌
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108 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 池田 志斈, 鴫原 貴子, 小池 美佳, 椙山 秀昭, 塚本 克彦, 島田 眞路, Ervin H Epstein Jr, 小川 秀興
    1998 年 108 巻 6 号 p. 831-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
    ヘイリーヘイリー病(HHD)及びダリエ病(DD)は共に常染色体優性遺伝性疾患であり,臨床及び組織学的にいくつかのオーバーラップする所見を示す.そのため従来より両疾患を同じ範疇のものと理解する考え方もあった.しかし近年白人HHDとDD家系の連鎖解析が行われ,HHD遺伝子はch3q21~24へ,DD遺伝子はch12q23~24.1にそれぞれマップされため,HHDとDDはそれぞれ異なる遺伝子の変異によって惹起されることが示唆された.今回我々は,2つの邦人HHD家系と1つの邦人DD家系を用いて連鎖解析を行った.その結果,HHD家系ではやはりch3q21~24のDNAマーカーと連鎖がみられ,ch12q23~24.1のDNAマーカーとは連鎖はみられなかった.一方DD家系では,ch12q23~24.1のDNAマーカーと連鎖がみられ,ch3q21~24のDNAマーカーとは連鎖がみられなかった.これらの所見は,HHD遺伝子はch3q21~24に,DD遺伝子はch12q23~24.1にそれぞれ存在し,HHDとDDは異なる遺伝子の変異によって惹起されることを支持するものと思われた.
  • 賈 青, 大西 誉光, 黒谷 篤之, 渡辺 晋一
    1998 年 108 巻 6 号 p. 837-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
    10例の毛包上皮腫(epithelioma adenoides cysticum 5例,単発例5例)について,22種類の抗ケラチンモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討を行った.腫瘍胞巣および角質嚢腫の染色態度は各々正常毛嚢の外毛根鞘と漏斗部と同様であった.CK8および19の発現は毛嚢では固定部と変動部の移行部付近の外毛根鞘最外層にみられ,同部にはfollicular stem cellが含まれていると考えられるが,自験例も種々の割合で腫瘍胞巣辺縁が染色された.以上より毛包上皮腫はまず固定部と変動部の移行部の外毛根鞘最外層へ分化し,一部はそれ以外の毛嚢組織へ分化しているものと推測された.また,多発例と単発例の間に染色性の顕著な差は認められなかった.
  • 福本 隆也, 宮川 幸子, 白井 利彦
    1998 年 108 巻 6 号 p. 843-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE),円板状エリテマトーデス(DLE),シェーグレン症候群(SjS),高ガンマグロブリン血症性紫斑(HGP)などの自己免疫疾患患者血清のRo/SS-A,La/SS-B抗原に対する免疫応答性を,リコンビナント蛋白を抗原としたELISA法により検討した.SLEと60-kD Ro/SS-A抗原に対する反応性,およびSjSと52-kD Ro/SS-A,48-kD La/SS-B抗原に対する反応性の関連が示唆された.DLEでは低力価の60-kD Ro/SS-A抗原に対する抗体を約40%に認めた.HGPと52-kD Ro/SS-A抗原,再発性環状紅斑を伴うSjSと60-kD Ro/SS-A抗原に対する反応との関連が示唆された.
  • 多田 弥生, 谷田 由香, 矢澤 徳仁, 藤本 学, 菊池 かな子, 玉置 邦彦
    1998 年 108 巻 6 号 p. 851-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
    最近汎発性強皮症(SSc)と原発性胆汁性肝硬変の合併3例を経験したので報告するとともに,これまで経験した両者の合併症例について若干の考察を加える.症例1:51歳,女性.レイノー現象がみられ,前腕までの皮膚硬化,両手指の浮腫性の腫脹があり,躯幹にそう痒を自覚している.抗セントロメア抗体320倍陽性.胆道系酵素の上昇より原発性胆汁性肝硬変が疑われ、抗ミトコンドリア抗体陽性,肝生検よりその合併と診断した.また,シェーグレン症候群の合併も認められた.症例2:64歳,女性.両手指の浮腫性の腫脹がある.皮膚そう痒や黄疸はない.抗核小体抗体1,280倍陽性.胆道系酵素の軽度の上昇と抗ミトコンドリア抗体の存在から原発性胆汁性肝硬変の合併と考えられた.症例3:75歳,女性.レイノー現象がみられ,手背までの皮膚硬化があり,顔面などに多数の毛細血管拡張を認める.また,指尖部潰瘍を繰り返している.皮膚そう痒はない.抗セントロメア抗体320倍陽性.胆道系酵素の上昇が認められ,抗ミトコンドリア抗体が陽性であり,原発性胆汁性肝硬変の存在が考えられた.また,以上3例のうち2例でHLA DR9陽性であった.当科における汎発性強皮症と原発性胆汁性肝硬変の合併15例の検討では,合併症例で汎発性強皮症単独例と比較してlimited cutaneous SScと診断される率が有意に高く,また,抗セントロメア抗体の陽性率も有意に高率であった.
  • 今福 信一, 木田 絹代, 段 虹, 辻田 淳, 占部 和敬, 利谷 昭人, 安元 慎一郎, 今山 修平, 嘉村 敏治, 中野 仁雄, 堀 ...
    1998 年 108 巻 6 号 p. 857-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の女性.1993年九州大学医学部付属病院産婦人科で子宮頸癌stage IIbの診断のもと手術および放射線照射を受け完治していた.1992年頃に肛囲に疣状の結節が出現,一度外科で切除されたが,創部が糜爛し治癒せず次第に拡大してきたため,1996年4月九州大学医学部付属病院皮膚科を受診した.初診時,肛囲から臀裂部にかけて紅色から白色の糜爛面が認められ,周囲に部分的に色素沈着を伴っていた.生検によりBowen病と診断し,根治的に切除・植皮術を施行した.子宮頸癌,および肛囲Bowen病の組織標本を用いてヒトパピローマウイルス(HPV)の検索を行ったところ,in situハイブリダイゼイションにより両組織よりHPV-DNAが検出され,いずれもHPV16/18型であった.シグナルは両組織とも腫瘍の上層の核に限局して認められた.子宮頸癌の浸潤部,リンパ節転移部の標本ではHPV-DNAは陰性であった.同じ型のウイルスが検出されたことから,両病変部の発生要因としてHPVの関与が考えられた.
  • 杉之下 素子, 寺井 実知子, 三木 弘彦, 宇山 昌延, 堀尾 武
    1998 年 108 巻 6 号 p. 863-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
    網膜剥離,白内障を伴ったChronic actinic dermatitis(以下CADと略す)の2例を経験した.症例1,69歳,男性.20数年来顔面,手背,頚部など露光部に重症皮膚病変を有し,網膜剥離および白内障を伴っていた.症例2,59歳,男性.10年間持続する顔面の苔癬化病変を有し,白内障を伴っていた.いずれも光線テストにてUVA,UVBともに過敏性を示し,CADと診断した.2例ともアトピー素因が見出せなかったが,これらの眼科的所見はアトピー性皮膚炎に伴うものと類似していた.その理由として,アトピー性皮膚炎と同様に,顔面のかゆみを伴う皮疹を叩打することが誘因となった可能性が考えられた.アトピー性皮膚炎だけでなく,自験例のような光線過敏症でも顔面の重症皮膚病変が網膜剥離や白内障の誘因となる可能性があり,顔面の皮膚炎には適切な治療によるコントロールが重要と思われる.
  • 1998 年 108 巻 6 号 p. 869-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル フリー
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