抄録
全身性強皮症(PSS)患者の血清亜鉛値を測定した.PSS患者の血清亜鉛値(60.8±11.8μg/dl)は健常人(76.5±7.1μg/dl)に比して有意に低下していた(p<0.001).病型別ではDiffuse type(平均56.8±13.0μg/dl)がLimited type(平均63.1±9.7μg/dl)より低下していた.PSS患者のうち低亜鉛血症を呈した18例にポラプレジンク1日150mgを投与した.Limited typeは6例全例,Diffuse typeは12例中9例に血清亜鉛値の上昇が認められた.なお,上昇しなかった3例にはいずれも高度な消化器病変が認められた.18例中6例に味覚異常を認め,ポラプレジンク投与により全例に著明な改善を認めた.