日本皮膚科学会雑誌
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乾癬治療に伴う患者quality of life(QOL)の変化
木村 京子山本 俊幸西岡 清
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1998 年 108 巻 9 号 p. 1147-

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抄録

1996年2月から6月に東京医科歯科大学皮膚科で治療を行った乾癬患者73名(男性50例,女性23例)を対象として,治療前と治療後に質問紙式のアンケート調査を行い,治療による患者のquality of life(QOL)の変化を検討した.治療はステロイド外用剤,ビタミンD3外用剤,アンスラリン,光線療法,レチノイド,メソトレキセート(MTX),サイクロスポリン(CYA)等である.質問項目はPsoriasis Disability Indec(PDI)を参考に作成した.すなわち,日常生活,交際,レジャー,仕事,治療の各項目について質問し,4段階の選択回答とした.治療後には,その治療の経済的負担,満足度についても質問した.同時にPsoriasis Area and Severity Index(PASI)を治療前後に算出し,患者のQOLとの関連を検討した.その結果,治療による変化の大きいQOL項目は,服装の選択,美容院,友人とのつきあい,男女交際,スポーツ,そして浴場や温泉についての項目と,外観,かゆみであった.いかなる治療であってもPASIが改善すると,患者の外観に関連するQOL項目は改善した.今回の治療群のなかで,QOL項目の改善が大きかったのは光線療法,レチノイド,レチノイドPUVA,MTX,CYAの全身治療群であった.治療費はCYA治療群全員と,ビタミンD3外用群,光線治療群の一部で負担が大きいという回答を得,治療費が安い治療のほうが満足度が高かった.患者の満足度を左右する因子としては,外観の改善,かゆみの改善,安い治療費が重要であった.

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© 1998 日本皮膚科学会
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