日本皮膚科学会雑誌
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108 巻, 9 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 奥田 知規, 大井 綱郎, 古賀 道之
    1998 年 108 巻 9 号 p. 1137-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
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    膠原病の病勢の判断は,臨床症状の観察を主体に行われるが,これに各種自己抗体などを補完的な指標として用いている.しかし,臨床症状と相関しない場合も認められる.我々は以前より,帯状疱疹後神経痛に対してLipo PGE1の有効性を加速度脈波で検討しており,点滴後の血管の容積変化の変動が大きいほどLipo PGE1点滴が有効であるという結果を得ている.そこで膠原病をはじめとする末梢循環不全を有する疾患患者の,点滴前後の加速度脈波を測定し,薬剤に対する脈波の変動が疾患ごとにどのように異なるか検討した.血管の末梢循環の指標となりうる加速度脈波のd/a値の変化値を検討したところ,PSS群において,他群と比較して,経時的変動の著明な違いを認めた.PSS群における末梢循環障害の成因は,他の膠原病であるSLEや末端部に潰瘍を形成した糖尿病性潰瘍とはかなり異なるのではないかと推察された.
  • 木村 京子, 山本 俊幸, 西岡 清
    1998 年 108 巻 9 号 p. 1147-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    1996年2月から6月に東京医科歯科大学皮膚科で治療を行った乾癬患者73名(男性50例,女性23例)を対象として,治療前と治療後に質問紙式のアンケート調査を行い,治療による患者のquality of life(QOL)の変化を検討した.治療はステロイド外用剤,ビタミンD3外用剤,アンスラリン,光線療法,レチノイド,メソトレキセート(MTX),サイクロスポリン(CYA)等である.質問項目はPsoriasis Disability Indec(PDI)を参考に作成した.すなわち,日常生活,交際,レジャー,仕事,治療の各項目について質問し,4段階の選択回答とした.治療後には,その治療の経済的負担,満足度についても質問した.同時にPsoriasis Area and Severity Index(PASI)を治療前後に算出し,患者のQOLとの関連を検討した.その結果,治療による変化の大きいQOL項目は,服装の選択,美容院,友人とのつきあい,男女交際,スポーツ,そして浴場や温泉についての項目と,外観,かゆみであった.いかなる治療であってもPASIが改善すると,患者の外観に関連するQOL項目は改善した.今回の治療群のなかで,QOL項目の改善が大きかったのは光線療法,レチノイド,レチノイドPUVA,MTX,CYAの全身治療群であった.治療費はCYA治療群全員と,ビタミンD3外用群,光線治療群の一部で負担が大きいという回答を得,治療費が安い治療のほうが満足度が高かった.患者の満足度を左右する因子としては,外観の改善,かゆみの改善,安い治療費が重要であった.
  • 須藤 一, 古池 高志, 川本 知江, 相川 洋介, 小川 秀興
    1998 年 108 巻 9 号 p. 1155-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD),特に重症難治例あるいは従来の治療法による副作用発現例に対する治療として,我々はこれまでPUVA療法を用いて良好な結果を得てきた.しかし,治療的観点あるいは個人的・社会的理由から短期間での寛解導入を計る工夫が必要になってきた.そこで,42名の難治性成人型AD患者に対して,ステロイド内服(Bethamethazone 3mg/day)を3日間だけPUVA療法に組み合わせたステロイドPUVA療法を開発した.その結果,従来のPUVA単独療法(n=47)と比較して,同等の効果が得られ,かつ総照射量(平均61.4J/cm2より34.2J/cm2)および照射回数の減少(平均18.2回より11.7回),即ち治療期間の大幅な短縮が観察された.すなわち,これはステロイド自体の相乗効果に加えて,MPD延長によって照射量を増加させたことによるものと考えた.
  • 片桐 一元, 波多野 豊, 高安 進
    1998 年 108 巻 9 号 p. 1163-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者の増悪因子検討のために平成5年から9年の間に大分医科大学皮膚科アトピー性皮膚炎外来を受診した外来患者35名,入院患者4名,合計39名を対象として,スタンダード系列(鳥居),化粧品,石鹸,シャンプーなどの日用品,外用剤を用いてパッチテストを施行した.患者の内訳は重症10名,中等度26名,軽症3名;男11名,女28名,平均年齢22.4歳;顔面に皮疹を認めるもの37名であった.39名中30名(76.9%)になんらかの陽性物質が認められた.スタンダード系列(鳥居)一検体以上に陽性を呈した症例は60.0%,その中ではホルマリン,重クロム酸カリウム,塩化コバルト,硫酸ニッケルの順に陽性頻度が高かった.日用品や外用剤に陽性であった例は57.1%であり,シャンプー,洗顔石鹸,石鹸,非ステロイド外用剤の順に陽性頻度が高かった.これらの持参品陽性例では使用中止もしくは変更により90%の症例で皮疹の改善が認められた.一方,スタンダード系列のみ陽性を呈する例では,問診上日常生活との関連は認められず,皮疹の改善に繋がらなかった.以上のごとく,アトピー性皮膚炎では日常接触する物質がしばしば増悪因子となることが,パッチテストとそれらを排除した結果から明らかとなった.また,パッチテストの結果とその後の経過との間に疑問点のあった8名の患者では,2回目以降のパッチテストは自宅で施行し,7名で新たに陽性物質を発見でき,これを避けることにより6名に皮疹の改善が認められた.若い成人のアトピー性皮膚炎患者では,自宅でパッチテストを行うことで通院の負担がなくなり,同時に早期に検査を行えるため,増悪因子の早期発見,治療効果の向上につながると考えられる.
  • 田辺 裕子, 工藤 由美子, 窪田 泰夫, 溝口 昌子, 今村 愉子, 大矢 直子, 鈴木 登
    1998 年 108 巻 9 号 p. 1169-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
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    HCV抗体,クリオグロブリンともに陽性で皮膚症状を伴った2例を報告した.症例1は足背~下腹部に生じた米粒大~大豆大の浸潤を触れる紫斑で神経症状も伴った.症例2は足背~下腿に米粒大~大豆大の浸潤を触れる紫斑と潰瘍治癒後と思われる瘢痕,加えて両下肢における網状皮斑を認め,神経症状および腎症状も合併していた.クリオグロブリンの型はそれぞれ2型,3型であったが,どちらも共通して下腿の紫斑を呈した.組織像も共通してleukocytoclastic vasculitisを呈した.HCV陽性のクリオグロブリン血症性紫斑について過去の報告を加え検討したところ,組織像で小血管のleukocytoclastic vasculitisを呈した症例のうち型を検索した6例(自験2例を含む)では,5例が2型で1例が3型であり,2型が多いことがわかった.本邦例で3型であったのは症例2が初めてである.
  • 1998 年 108 巻 9 号 p. 1177-
    発行日: 1998年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
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