日本皮膚科学会雑誌
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皮膚原発眼瞼外脂腺癌 自験15例の臨床病理学的検討
安齋 眞一近藤 慈夫
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1999 年 109 巻 13 号 p. 2111-

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抄録

皮膚原発眼瞼外脂腺癌15例について臨床病理学的検討を行った.12例は女性,初診時年齢は,平均80.1歳であった.発生部位は顔面が10例と最も多く,頭部3例・躯幹が2例であった.2年以上経過を観察し得た12例中6例(50%)で遠隔転移がみられ,そのうち4例は腫瘍死した.病理組織学的には,脂腺分化を伴う上皮性悪性腫瘍の像であるが,pagetoid spreadが5例で,bowenoid changeが3例で観察され,壊死性変化も9例で観察された.腫瘍細胞の形態は10例で見られたsquamoid typeと5例で見られたbasaloid typeに大別され,脂腺分化細胞の分布も10例で見られた散在性の型と5例で観察された塊状の型があった.これらのsubtypeのうち,basaloid typeが有意にsquamoid typeよりも転移の確率が高かった.発生部位が多くの場合露光部であること,病理組織学的に真皮上層で日光性変化が見られる例が多いこと,時に日光性角化症と鑑別できない病変を伴う例があったことなどから,眼瞼外脂腺癌の発症には,日光への暴露が関係していると考えられた.

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© 1999 日本皮膚科学会
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