1999 年 109 巻 14 号 p. 2197-
皮膚原発悪性黒色腫89例を対象として,TNM分類におけるtumor thicknessとlevelの適合度,予後因子としての両者の重要性の比較検討を行った.現行のpT分類におけるthicknessとlevelの一致率は58.4%で,thicknessがlevelを上回って不一致となった症例が32.6%を占めていた.Kaplan-Meier法による単変量の生存分析では,thickness(p<0.0001),level(p=0.0023)ともに有意な予後因子であったが,thicknessを2層に分けた層別解析では,thicknessが3.01mm以上におけるlevelの有意性は認められなかった(p=0.48).thickness,level,年齢,性別,部位,病型,前治療歴および転移の8因子による比例ハザードモデルでは,stepwise法により転移(p=0.005),次いでthickness(p=0.021)のみが有意な予後因子として選択された.近年の欧米における複数の大規模な統計解析で.pT分類からのlevelの削除が提案されており、今回の我々の結果もそれを支持するものと思われた.