日本皮膚科学会雑誌
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細胞診標本における悪性黒色腫と色素性母斑の核DNA定量測定の検討
中村 稔大井 綱郎古賀 道之豊田 充康工藤 玄惠海老原 善郎
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1999 年 109 巻 4 号 p. 603-

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抄録
悪性黒色腫の診断には,HE染色組織標本による古典的形態学診断の他に,S-100蛋白,HMB-45など各種抗体を用いた免疫染色,核DNA定量測定法などがある.そのなかで今回,悪性黒色腫の細胞診標本を同時に作成し,image cytometryを利用して,細胞診標本と組織診標本をそれぞれ核DNA定量分析を行った.その比較対照として色素性母斑の検討を行った.その結果,両検体ともに悪性黒色腫ではaneuploid,色素性母斑ではdiploidを示し,細胞診標本を用いた核DNA定量は診断手段として有用であるとの結論を得た.細胞診標本は組織標本と比べ,細胞を簡単に選択でき,測定時間も短縮できる.さらに細胞個々の大きさ,N/C比,核クロマチン量・分布といった形態的特徴をより詳細かつ厳密に観察できるのも利点と思われた.
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© 1999 日本皮膚科学会
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