1999 年 109 巻 4 号 p. 635-
39歳,男性.非ホジキン性悪性リンパ腫に対してインターフェロン-αおよびTNF-αを用いて加療中に,paraneoplastic pemphigus(以下PNPと略す)を発症した.血漿交換療法およびプレドニゾロン内服の併用により皮膚・粘膜症状は徐々に軽快したが,その後呼吸困難が出現しP02が低下した.胸部X線,胸部CTスキャン像では著明な変化はなく,気管支鏡下の生検で気管支のいわゆる偽重層上皮の基底細胞上部に棘融解様の所見が認められた.また蛍光抗体直接法にて肺胞上皮細胞表面にIgGの沈着を認めたことから,PNPの呼吸器病変の可能性が考えられた.本邦におけるPNPの報告は未だ少なく,自験側は呼吸器病変を呈するPNPとして本邦第1例目と思われる.