日本皮膚科学会雑誌
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C型肝炎のインターフェロン療法にて軽快したクリオグロブリン血症性紫斑の1例
佐々木 公美湊原 一哉音山 和宣横関 博雄西岡 清高清水 一善神田 隆
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2000 年 110 巻 13 号 p. 2141-

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抄録

63歳,女性.33歳時に非A非B型肝炎罹患,56歳時にC型肝炎と診断され,58歳時に天然型インターフェロン(以下IFN)α療法を施行されるも,精神症状出現のため中止.1998年8月より両下腿に網状皮斑,疼痛を伴う紫斑が出現.血清クリオグロブリン,血中HCV-RNA量,血清の寒冷沈降物中HCV-RNA量高値,紫斑の組織所見にて,真皮浅層の血管周囲の細胞浸潤と内腔閉塞像を認めた.以上よりC型肝炎によるクリオグロブリン血症Ⅱ型と診断した.下腿のしびれ,異和感などの神経症が増悪傾向にあり,神経生検で進行性の神経炎の所見を得たため,遺伝子組み換え型IFN-α2bによる治療を試みた.治療経過とともに血中HCV-RNA最低下,血中クリオグロブリン量の低下を示し,臨床的に紫斑の新生も減少し,皮膚症状の改善がみられ,血中HCV-RNA量,血清クリオグロブリン量と病勢との関連性が示唆された.しかしながらクリオグロブリン血症による神経支配血管の閉塞などにより生じたと考えられる神経症状は改善せず,皮膚症状に比較し難治性であった.

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© 2000 日本皮膚科学会
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