日本皮膚科学会雑誌
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正常ヒト角化細胞におけるダリエ病遺伝子(ATP2A2)の発現の検討
黛 暢恭池田 志斈
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2000 年 110 巻 5 号 p. 831-

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抄録
正常ヒト皮膚におけるダリエ病遺伝子ATP2A2の発現について検討した.同遺伝子はCa2+-ATPaseのisoform type2(SERCA2:the sacro/endoplasmic reticulum Ca2+-ATPase type2 isoform)をコードするATP2A2遺伝子であると報告され,表皮におけるカルシウム濃度の変化に関与していると思われるが,本論文ではまず,同遺伝子の正常ヒト皮膚での部位別の発現量を検討した.ダリエ病の好発部位である脂漏部位での発現は非脂漏部位における発現と比較し少なかった.また,正常培養ヒト角化細胞を用い,紫外線の影響を検討したところ,UV-Bを照射後,同遺伝子の発現量は著明に抑制され,6時間後には再び上昇し,12時間後には正常レベルに達した.従って本遺伝子の発現の多寡が皮疹分布を規定する可能性,及び夏期に増悪する理由として紫外線による本遺伝子の発現の低下が考えられた.
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© 2000 日本皮膚科学会
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