日本皮膚科学会雑誌
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成人アトピー性皮膚炎患者の心理・社会的要因の研究(第1報) ―瘙痒・掻破と心理的要因の関連性の検討―
奥野 英美勝岡 憲生サンティス 智恵向野 哲堤 邦彦福山 嘉綱上里 一郎
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2000 年 110 巻 5 号 p. 837-

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抄録
本研究の目的は,成人アトピー性皮膚炎患者の瘙痒・掻破と心理的要因との関連性を検討することである・成人アトピー性皮膚炎患者72名(男性35名,女性37名,17~44歳,平均年齢25.06歳,SD=5.61)と,統制群60名(男性15名,女性45名,19~23歳,平均年齢20.82歳,SD=1.05)に質問紙調査を実施した.調査材料は,病態に関する質問項目群,状態・特性不安検査,CESデプレッション・スケール,State-Trait Anger Expression Scale,YG性格検査である.本研究の結果,(1)アトピー性皮膚炎患者は健常者と比較して,不安,抑うつ,怒りが高いこと,(2)瘙痒や掻破の強い人は,弱い人と比較して,不安,抑うつ,怒りが高いこと,(3)患者のパーソナリティーが瘙痒や掻破に影響を与えていること,(4)瘙痒や掻破が,症状と心理的反応に影響を与えていることが明らかにされた.以上から,成人アトピー性皮膚炎患者の症状や心理的反応を改善するために,高い怒り,不安,抑うつで特徴づけられるパーソナリティーを改善するための介入,瘙痒,掻破行動を減少させる介入の必要性が示唆された.
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© 2000 日本皮膚科学会
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