日本皮膚科学会雑誌
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成人アトピー性皮膚炎患者の心理・社会的要因の研究(第2報) ―セルフケア行動の遂行に関連する要因の検討―
奥野 英美勝岡 憲生サンティス 智恵向野 哲堤 邦彦福山 嘉綱上里 一郎
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2000 年 110 巻 5 号 p. 845-

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抄録

本研究の目的は,成人アトピー性皮膚炎患者のセルフケア行動の遂行に影響を与える要因として効力予期,Health Locus of Controlを取り上げ検討することである.調査対象は,成人アトピー性皮膚炎患者72名(男性35名,女性37名,17~44歳,平均年齢25.06歳,SD=5.61)である.セルフケア行動の遂行に関する効力予期,結果予期,Health Locus of Controlの得点の検討から,効力予期,結果予期,健康に対する内的統制感は低下していないことが明らかにされた.また,セルフケア行動の遂行に影響を与える要因の検討から,男性では効力予期と結果予期,女性では効力予期が高まるとセルフケア行動の遂行状況が良いこと,また,健康の原因を外的統制と考えられる偶然に帰属することが少ない女性はセルフケア行動の遂行状況が良いという結果が得られた.以上から,成人アトピー性皮膚炎患者のセルフケア行動の遂行を高めるためには,効力予期,結果予期,そして健康に対する内的統制感を高める介入が有効である可能性が示唆された.

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© 2000 日本皮膚科学会
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