日本皮膚科学会雑誌
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両膝蓋靭帯断裂をきたしたEhlerrs-Danlos症候群Ⅳ型の1例
山崎 研志佐山 浩二八幡 陽子白方 裕司1|持 淳遠藤 秀治新海 浤橋本 公二
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2000 年 110 巻 8 号 p. 1301-

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抄録

25歳女性のEhlers-Danlos症候群Ⅳ型を経験した.患者は幼少時より皮下の易出血性と皮膚の脆弱性の典型的症状と共に,両膝蓋の靭帯断裂というEhlers Danlos症候群Ⅳ型ではまれな症状を合併していた.血液検査では止血能を含めて基準値内であったが,皮膚の電子顕微鏡検査で,膠原線維の大小不同と線維芽細胞内の粗面小胞体の拡張を認めた.また患者皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生を調べるとⅢ型コラーゲンがほとんど産生されていなかった.Ehlers-Danlos症候群は皮膚の過伸展とともに関節可動域の拡大という典型的症状が強調されるため,易出血性を主症状とし,皮膚の過伸展と大関節の過可動のほとんどないEhlers-Danlos症候群Ⅳ型は見過ごされやすいと思われた.Ⅲ型コラーゲンは血管,皮膚に多く存在し,Ⅲ型コラーゲンの減少するEhlers-Danlos症候群Ⅳ型では大血管破裂などのため予後不良とされる.皮膚科医はEhlers-Danlos症候群Ⅳ型に熟知し,疑い例にはコラーゲン型分析を含めた積極的な検査をすすめる必要があると考える.

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© 2000 日本皮膚科学会
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