日本皮膚科学会雑誌
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110 巻, 8 号
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  • 斎田 俊明
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1267-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    メラノーマ(悪性黒色腫)の診断と治療に関する最近の研究成果を紹介した.診断に関してはmelanoma in situを中核とする早期病変の概念が確立されたことが,予後の改善に大きな意義を有する.Dermoscopy所見上,足底のメラノーマの早期病変はparallel ridge patternと呼ばれる皮丘に強い独特な色素沈着を示し,診断確定に役立つ,tumor thicknessの術前評価法として2mmより薄い原発巣の場合には高周波エコーが,それより厚い場合にはMRIが有用である.治療に関しては,原発巣の切除範囲が縮小され,厚さが1mmまでの早期病変であれば1cm程度離しての全摘でほぼ完治させることができる.論争が続いていた予防的リンパ節郭清に関してはsentinel node biopsyの考え方が提案され,注目を集めている.進行期症例の治療法としては,抗estrogen剤のtamoxifenを併用するレジメン(欧米ではDartmouth regimen,本邦ではDAC-Tam療法)でかなり高い奏効率が報告されている.また,cisplatinを主体とする化学療法に引き続いてIL-2とIFN-αを投与するsequential biochemotherapyにて高い完全寛解率がえられ,長期生存例もかなりみられており,注目される.しかし,これらのいずれのレジメンについても最近,効果を疑問視する無作為割り付け試験が報告されており,今後さらに検討を要する.メラノーマの新薬としてはtemozolomideが有望視されている.その他,メラノーマにおける染色体・遺伝子異常,免疫療法,遺伝子治療などにつき近況と展望を記載した.
  • 蕪城 裕子, 島田 由佳, 竹原 和彦
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1277-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    当科アトピー外来通院中の患者191人を対象に,アトピービジネスに対する意識調査を行った.特殊療法経験の有無,目的および期待してた効果と実際の効果,使用金額,被害意識,情報入手経路,アトピービジネス隆盛の責任などについて質問し,回答を集計検討した.結果は全体の84.8%が何らかの特殊療法経験者で,1人あたりの平均経験件数は5件であり,多数の患者が複数にわたって経験しているという傾向が見られた.特殊療法を行った目的は,体質改善や脱ステロイドという意見が多く,どういう効果を期待したかについては,現治療プラスアルファという意見も多かったが,根治的治療という意見も多かった.実際の効果については,経験者の60%以上が不変だったと答え,防ダニ対策製品群以外は有効例より悪化例が上回っているという結果であった.経験者のうちの47.8%が何らかの被害を受けたと感じており,今後も試すかどうかについては,慎重な姿勢を示している意見が多かった.アトピービジネス隆盛の責任はマスコミ報道にあるとする意見が一番多かったが,皮膚科医とする意見も多く,反省を要する点ではないかと考えられた.今後我々皮膚科医によるアトピー性皮膚炎の治療に関する明確なコンセンサスの確立が望まれる.
  • 森田 明理, 磯村 巌, 細川 裕子, 小林 桂子, 澤田 啓生, 辻 卓夫
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1283-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    異汗性湿疹は掌蹠に生じた湿疹病変と考えられている.治療はステロイド外用が行われるが,再燃・悪化を繰り返し,原因が明らかではない場合には他に有効な方法がなく治療に苦慮することがしばしばである.今回私達は,難治性の異汗性湿疹患者14人に対し外来でLocal PUVA-bath療法を行った.方法:30~37℃の温水1.5Lを洗面器に入れ,0.0001%メトキサレン濃度になるようにし,手または足を15分間浸した直後,0.5J/cm2からUVA照射を行い0.5L/cm2ずつ増量し最大2~2.5J/cm2照射した.週に1~2回照射を行い,最大20回の照射を行った.結果:1回照射後から水疱の新生がなくなる症例があり,3回目ではほとんどの症例で水疱の減少が見られた.最終照射時の皮疹の評価では,寛解(消失)7例,改善3例,やや軽快3例,無効1例,悪化0例であった.改善以上の治療効果の得られたのは,全体の71%であった.軽度の色素沈着が全例にみられたこと以外は,問題なく照射が可能であった.ステロイド外用に対して難治例には,試してみるべき治療法であると考える.
  • 谷口 裕子, 渡邊 京子, 丸山 隆児, 加藤 卓朗, 西岡 清
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1289-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    足白癬患者が踏んだバスマットを被験者が踏んだ後施行したFoot-press培養法で多数の皮膚糸状菌(白癬菌)が分離された.このバスマットに処置を行った後,再度Foot-press培養法を施行することにより,足白癬患者からバスマット上に散布された菌の除菌方法について検討した.無処置で2回連続してFoot-press培養法を行った場合,バスマット上の菌の残存率(2回目の集落数/1回目の集落数)はっ平均65.7%であったが,タオルで拭くと18.2%,アイロンをかけると3.7%,洗濯すると0%となった.さらに消毒薬等の効果について検討したところ,残存率は,市販の除菌スプレー3.4%,ウェルパス■5.4%,0.5%ヒビテン■液6.5%,消毒用エタノール8.7%,酸性水43.2%,水道水59.2%であった.消毒薬をバスマットの除菌に用いることは使用法の適応外のことであり,洗濯,タオルで拭く,アイロンをかける,などの物理的な方法が適していると結論した.
  • 大岡 志穂, 上西 香子, 久志本 常人, 柳澤 俊之, 佐多 徹太郎, 溝口 昌子
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1295-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    31歳,男.初診7日前に頭痛を主訴に当院内科入院,精査にて頭蓋内・肝臓に多発性腫瘤,胃に隆起性病変あり,10年以上前より認めていた四肢の紫褐色斑をカポジ肉腫疑いにて生検施行.病理組織像は,真皮の上層から中層にかけて紡錘形細胞の増殖と,同部に多数の管腔,裂隙の形成,赤血球の漏出を認めた.CD34,FactorⅧ陽性,以上よりカポジ肉腫と診断.抗HIV抗体陰性.病変部組織のPCR法にてhuman herpesvirus8型(HHV8)に特異的なDNA塩基配列を確認した.
  • 山崎 研志, 佐山 浩二, 八幡 陽子, 白方 裕司, 1|持 淳, 遠藤 秀治, 新海 浤, 橋本 公二
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1301-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    25歳女性のEhlers-Danlos症候群Ⅳ型を経験した.患者は幼少時より皮下の易出血性と皮膚の脆弱性の典型的症状と共に,両膝蓋の靭帯断裂というEhlers Danlos症候群Ⅳ型ではまれな症状を合併していた.血液検査では止血能を含めて基準値内であったが,皮膚の電子顕微鏡検査で,膠原線維の大小不同と線維芽細胞内の粗面小胞体の拡張を認めた.また患者皮膚線維芽細胞のコラーゲン産生を調べるとⅢ型コラーゲンがほとんど産生されていなかった.Ehlers-Danlos症候群は皮膚の過伸展とともに関節可動域の拡大という典型的症状が強調されるため,易出血性を主症状とし,皮膚の過伸展と大関節の過可動のほとんどないEhlers-Danlos症候群Ⅳ型は見過ごされやすいと思われた.Ⅲ型コラーゲンは血管,皮膚に多く存在し,Ⅲ型コラーゲンの減少するEhlers-Danlos症候群Ⅳ型では大血管破裂などのため予後不良とされる.皮膚科医はEhlers-Danlos症候群Ⅳ型に熟知し,疑い例にはコラーゲン型分析を含めた積極的な検査をすすめる必要があると考える.
  • 畑 康樹, 江守 裕一, 村田 隆幸, 仲 弥, 西川 武二
    2000 年 110 巻 8 号 p. 1307-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    ブラジル日系2世の44歳,男性患者にみられたパラコクシジオイデス症の1例を経験した.初診の約1年前より血漿を伴う咳嗽,嗄声が出現し,粘膜疹次いで皮疹を伴うようになった.近医にて結核の疑いにて抗結核薬を投与され,肺病変はやや改善するも,粘膜疹,皮疹は増悪し,当科を紹介受診.口腔,鼻腔粘膜疹と口角と鼻腔入口部に疣贅状の角化性紅斑,右肘頭部と臀部に痂皮と糜爛を伴う疣贅状局面を認めた.組織中に舵輪状の菌要素を確認.培養にて原因菌をParacoccidioides brasiliensisと同定した.イトラコナゾール200mg/日内服にて2ヵ月半後には軽快したため,同100mg/日に減量.12ヵ月内服中であるが,現在のところ再発を認めていない.本邦報告14例中,皮膚科領域からの皮疹の詳細な記載を伴った報告例はなく,輸入真菌症の増加が予想される現在,貴重な症例と考え報告した.
  • 2000 年 110 巻 8 号 p. 1315-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
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