日本皮膚科学会雑誌
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イトラコナゾールによる爪白癬のパルス療法(第3報)―高用量(400mg/日)の変法への適用は有用か?―
奥田 長三郎伊藤 雅章
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2000 年 110 巻 9 号 p. 1421-

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抄録

イトラコナゾールによる爪白癬のパルス療法における,日本人を対象とした,より有効な投与法(変法)を知るために,済生会三条病院を受診した爪白癬患者52例を対象として,400mg/日を3日間連続して内服することを4週ごとに反復した.24週後,評価対象症例は38例で,投薬に効果を示した症例の割合(有効率)は,指爪で100%,第2,3趾爪で72.7%,第4,5趾爪で80%,第1趾爪で60%であった.無効例を除いて最長で1年間パルス療法を継続した結果,臨床的治癒率は,指爪で100%,第2,3趾爪で63.6%,第4,5趾爪で60%であった.一方,第1趾爪では,投薬に効果を示した例の半数が同療法中に悪化した結果,臨床的治癒率は25%(真菌学的治癒率は30%)にとどまった.第1趾爪のうち,楔状~縦線状病変を有する症例のみの臨床的治癒率は同様に25%であった.したがって,高用量(400mg/日)を適用した今回の変法の結論は,次のようになる.①指爪と第2~5趾爪には,かなり有用である可能性がある.しかし,第1趾爪に対する有用性は,病変が楔状~縦線状であるか否かに関係なく低い.②指爪は投与にかかわらず治癒する.一方,趾爪(少なくとも第1趾爪)では,すでに報告した週1回投与法(200mg~300mg/日)から今回の変法に変更することによって臨床的治癒率が改善されることはない.

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