日本皮膚科学会雑誌
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110 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 熊切 正信
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1389-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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  • 孫 令, 山崎 研志, 白方 裕司, 村上 信司, 佐山 浩二, 橋本 公二
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1395-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    Vascular endothelial growth factor(VEGF)は血管内皮増殖因子および血管透過性亢進因子として発見され,いくつかの皮膚疾患においてその発現が誘導されていることが報告されている.特に尋常性乾癬においては肥厚,増殖した表皮においてVEGFが増加し,表皮直下の毛細血管拡張と炎症細胞浸潤という病態に関与していると報告されている.扁平苔癬は表皮の肥厚と真皮上層の血管新生,炎症を特徴とする炎症性角化症のひとつであり,乾癬と同様にVEGFの関与が推察される.そこで,扁平苔癬におけるVEGF蛋白の発現を免疫組織染色法で,VEGF mRNAの発現をribonuclease protection assay法で検討した.扁平苔癬の病変部表皮ではVEGF蛋白が強く発現しており,その発現は表皮の上層で強く,細胞質に細顆粒状の染色性を示した.VEGF mRNAは扁平苔癬表皮では正常表皮に比較してVEGF121/145が2.0倍,VEGF165/206が1.5倍,VEGF189が2.1~2.6倍に発現が増加していた.真皮部位の血管内皮細胞を抗CD34抗体で染色し,検体の表皮を非病変部,移行部及び病変部の三つの部分に分けて真皮毛細血管密度を測定し,VEGFの発現との関係を検討した.移行部及び病変部の毛細血管密度は非病変部と比べて有意に増加しており,VEGFの発現の程度と相関していた.このことから,扁平苔癬において表皮が産生するVEGFは,真皮毛細血管の増殖と拡張に密接に関与していることが推察された.
  • 田中 まり, 東山 真里, 櫻根 純子, 板見 智, 吉川 邦彦, 黒川 信夫, 郡 孝子, 勝浦 正人, 池田 賢二
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1403-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    自己免疫性水疱症の口腔粘膜病変に対し,口腔用ステロイド軟膏塗布+口腔用ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)フィルム貼付(以下外用貼付療法と略)を試みた.一部の症例にはステロイド局注を併用した.対象は口腔粘膜病変を有する自己免疫性水疱症患者10名(男4名,女6名),年齢は23~73歳(平均50.5歳),疾患は尋常性天疱瘡(PV)8例,尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡(PF)の合併1例,瘢痕性類天疱瘡(CP)1例であった.8例はステロイド内服中であり,これまでの全身療法は継続とした.口腔用ステロイド軟膏及びフィルムの調整にはHPCを用いた.外用貼付療法は,口腔用ステロイド軟膏を1日3回単純塗布しさらに毎日眠前に軟膏塗布後フィルム貼付を施行した.ステロイド局注は,1回量トリアムシノロン2~8mgを2~4週間に1度受診時に施行した.効果は判定期間を4週間とし,びらんの縮小率で著効,有効,不変,増悪の4段階で判定した.10例中,外用貼付療法と局注の併用を6例(PV4例,PV+PF1例,CP1例),外用貼付療法を4例(PV4例)で行った.外用貼付療法と局注の併用例,外用貼付療法単独例ともに著効が50%,有効が50%で,不変及び増悪はなかった.対象を3群に分けた検討では,ステロイド非内服群でも有効であり,口腔粘膜病変長期難治群でも粘膜疹が改善しステロイド内服が減量可能となった.副作用では口腔内カンジダ症,黄色腫様変化が各2例あった.口腔粘膜病変のみ難治の為内服ステロイド減量困難な例や,合併症や副作用で早期減量が望まれる例,さらに疼痛緩和目的に局所療法は有用な補助療法であり,口腔粘膜のみに病変が限局し抗体価も低値の症例には,ステロイド全身投与の前にまず試みる価値があると考える.
  • 井上 多恵, 米田 耕造, 長門 一, 西巻 啓子, 真鍋 求, 出光 俊郎
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1411-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    近年,皮膚科領域を中心として15MHzから60MHzの高い分解能を持つ高周波超音波診断装置が用いられるようになり,特に腫瘍の診断,治療に応用されている.今回,Thrombosed veinの5例について有用性について検討した.その結果,腫瘤はいずれも脈管と連続して高輝度,あるいは低輝度の境界明瞭なmasslesionとしてみられ,極めて特徴的であった.従って汗腺腫瘍など他の臨床的に鑑別しがたい腫瘍との鑑別も容易であった.以上の結果から本症の診断に高周波超音波診断装置は極めて有用,かつ簡便な検査法であり,皮内,皮下の腫瘤病変に対して積極的に行うべきと考えられた.
  • 奥田 長三郎, 伊藤 雅章
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1421-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    イトラコナゾールによる爪白癬のパルス療法における,日本人を対象とした,より有効な投与法(変法)を知るために,済生会三条病院を受診した爪白癬患者52例を対象として,400mg/日を3日間連続して内服することを4週ごとに反復した.24週後,評価対象症例は38例で,投薬に効果を示した症例の割合(有効率)は,指爪で100%,第2,3趾爪で72.7%,第4,5趾爪で80%,第1趾爪で60%であった.無効例を除いて最長で1年間パルス療法を継続した結果,臨床的治癒率は,指爪で100%,第2,3趾爪で63.6%,第4,5趾爪で60%であった.一方,第1趾爪では,投薬に効果を示した例の半数が同療法中に悪化した結果,臨床的治癒率は25%(真菌学的治癒率は30%)にとどまった.第1趾爪のうち,楔状~縦線状病変を有する症例のみの臨床的治癒率は同様に25%であった.したがって,高用量(400mg/日)を適用した今回の変法の結論は,次のようになる.①指爪と第2~5趾爪には,かなり有用である可能性がある.しかし,第1趾爪に対する有用性は,病変が楔状~縦線状であるか否かに関係なく低い.②指爪は投与にかかわらず治癒する.一方,趾爪(少なくとも第1趾爪)では,すでに報告した週1回投与法(200mg~300mg/日)から今回の変法に変更することによって臨床的治癒率が改善されることはない.
  • 清水 英樹, 神谷 秀喜, 米田 和史, 北島 康雄
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1429-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    37歳女性.生来,左大腿部に巨大な青色母斑が存在していた.初診の2年程前より局面中央に小結節が出現し急速に増大したため,1995年3月29日近医で全摘出され悪性黒色腫と診断(詳細不明),当科を紹介された.1995年4月27日瘢痕部から5㎝以上離して一部筋膜を含めて拡大切除,左鼠経リンパ節郭清を施行した.組織学的には腫瘍部は2種類に分けられ,1つは紡錘形細胞で多数のメラニン顆粒を有し,渦巻き状の配列増殖をしていた.もう一方は類円形,楕円形,多角形を示す細胞で,いずれの細胞も異型性が強い悪性像を呈していた.以上の所見より青色母斑より発生した悪性青色母斑と診断した.しかし,発生母地と考えられた本例の生来の巨大青色母斑も所属リンパ節に存在し,極めて稀な症例と考えられた.
  • 佐々木 五月, 三橋 善比古, 近藤 慈夫, 片桐 美之, 清水 行敏, 前田 邦彦
    2000 年 110 巻 9 号 p. 1437-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    擦過によりDarier徴候様の膨疹形成を示す紅斑および結節を顔面,躯幹,上肢に生じた,小児皮膚悪性リンパ腫の12歳男児例を報告した.皮疹部生検組織では肥満細胞はごく僅かであり,真皮上層から皮下脂肪組織にかけて胞体の乏しい均一な中等大のリンパ芽球様細胞のびまん性浸潤を認めた.免疫組織所見はCD3ε,CD7とTdTが陽性で,CD13とHLA-DRは陰性であった.T細胞受容体遺伝子β鎖,γ鎖,および免疫グロプリンH鎖の再構成は検出されなかた.Precursor T-lymphoblastic lymphoma(revised European-American lymphoma classification).病期IIBと診断した.化学療法により完全寛解し,初発27ヵ月後まで再発を認めない.膨疹形成の成因として,僅かに認められた肥満細胞,あるいはリンパ系腫瘍細胞増殖に伴うhistamine,cytokine,prostaglandin等の化学伝達物質の関与が推定された.
  • 2000 年 110 巻 9 号 p. 1445-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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