日本皮膚科学会雑誌
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原著
高度の高好酸球血症を伴った結節性多発動脈炎の1例
鈴木 かやの川名 誠司吉野 惠木村 陽一青木 恵理
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ジャーナル 認証あり

2001 年 111 巻 7 号 p. 1111-1116

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抄録
症例は40歳男性.初診の約1カ月前より全身倦怠感があり,1週間前より発熱と,両下腿に疼痛を伴う皮下結節が出現した.皮疹はその後数日で広範囲・難治性の潰瘍を形成した.組織学的に壊死性血管炎であった.高度の高好酸球血症,多発単神経炎,間質性肺炎を伴っていた.臨床および病理組織学的に,顕微鏡的多発血管炎(MPA)を考えたが,腎障害は見られず,抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)も陰性で,その診断基準を満たさなかった.また高度の高好酸球血症と病理所見より,アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)を鑑別にあげたが,喘息の既往が無いことより診断基準を満たさなかった.最終的に結節性多発動脈炎(PAN)と診断したが,間質性肺炎以外に,いわゆる古典的PNにみられるような重篤な多臓器障害を認めなかった.以上のように,一つの疾患に特定できない症例に対し,Fauciの提唱したpolyangiitis overlap syndrome1)の疾患概念が当てはまるかどうかについて検討した.
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© 2001 日本皮膚科学会
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