日本小児外科学会雑誌
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症例報告
Tension gastrothoraxをきたした遅発性横隔膜ヘルニア3例の検討
鈴木 健斗文野 誠久古川 泰三竹内 雄毅竹本 正和坂井 宏平東 真弓青井 重善田尻 達郎
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2020 年 56 巻 7 号 p. 1123-1127

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抄録

Tension gastrothoraxは,遅発性横隔膜ヘルニアに起こりうる病態で,胸腔内に脱出した胃に,食道胃接合部の捻れと胃流出路閉塞が出現することで,胃拡張から縦隔偏位,閉塞性ショックを来し,初診時対応が遅れると重篤な経過を辿りうる.当院でこれまで治療を行った3例について報告する.2か月男児においては左気胸を疑われて胸腔穿刺されたところ胃内容が吸引され救急搬送となり,緊急開腹術を施行した.3歳男児においては,腹痛と嘔吐で発症し胃腸炎の診断で入院となったが,第3病日に腹痛増悪と意識状態悪化を認め,搬送途中で心肺停止となり死亡した.4か月男児では嘔吐と機嫌不良で発症しその後頻呼吸を呈し,胃管による緊急減圧の後に胸腔鏡下根治術を施行した.Tension gastrothoraxの救命には,診断が疑われれば,ただちに胃管挿入を試み,それが不能な症例は躊躇なく胸壁より胃を穿刺して緊急減圧処置を行うことが最も重要と考えられた.

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