日本皮膚科学会雑誌
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111 巻 , 7 号
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生涯教育講座
  • 室 慶直
    原稿種別: 生涯教育講座
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1057-1061
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    皮膚筋炎は皮膚症状を必発とする膠原病のひとつであり,その診療に当たって皮膚科医の果たす役割は大きい疾患である.診断基準に採用されている特異的な皮疹の他にも,皮膚筋炎に特徴的とされる皮疹の種類は多く,皮膚科医はそれらの皮疹に精通しておかなければならない.治療抵抗性の間質性肺炎を合併したり,悪性腫瘍を合併する例は,それらが生命を左右するのであり,いかに皮疹から皮膚筋炎を早期発見し,適切な措置をとることが大切であるか,を認識しておかなければならない.
原著
  • 村上 かおり, 塩川 章, 矢持 淑子, 瀧本 雅文, 九島 巳樹, 太田 秀一, 飯島 正文
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1063-1074
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    Granzyme BやT cell restricted intercellular antigen(以下TIA-1)はCD 4またはCD 8陽性のcytotoxic T cellやNK cellより発現されるcytotoxic proteinsであり,近年ではある種のcutaneous T cell lymphomaでこれらの発現が示唆されている.そこで扁平苔癬や慢性円板状エリテマトーデスなど組織学的にlichenoid tissue reactionを認める皮膚炎症性疾患を中心としてこれらの発現と浸潤細胞について免疫病理組織学的に検討した.その内訳は扁平苔癬13例,苔癬型薬疹5例,DLE 14例,深在性エリテマトーデス4例,SLE 12例,中毒疹11例,尋常性乾癬5例,慢性湿疹7例,皮膚良性リンパ腺腫症2例の計73例を対象とし,formalin固定・paraffin包埋切片を用いてUCHL-1,CD 4,CD 8,CD 79 a,CD 56,S-100,HLADR,Granzyme B,TIA-1,CD 68,CD 30についてLSAB法にて免疫染色を行い検討した.また,TIA-1に関してはCD 8との二重染色を施行した.結果:全対象において浸潤細胞はCD 8+T cellが優位にみられた.TIA-1はほぼ全疾患群において陽性細胞の増加がみられ,特に扁平苔癬,苔癬型薬疹に発現率が高かった.CD 8とTIA-1との二重染色を施行したところ,基底層障害の程度が強い程二重染色陽性細胞の占める率が有意に増加していた.Granzyme BはTIA-1より陽性率は少なかったが,正常対照に対して全ての炎症性疾患群でその発現がみられた.TIA-1の発現と活性化されたcytotoxic T cellとの関連を示唆していると考えられた.
  • 南 健, 河 陽子, 伊東 優, 飯野 四郎, 溝口 昌子
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1075-1081
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)感染が多彩な皮膚疾患に関連することが注目されている.そこで,HCV陽性患者220名を実際に診察し,皮膚症状との関連を統計的に検討した.また,クリオグロブリン血症性紫斑,扁平苔癬の病変組織について免疫組織染色を行いHCVの局在を検討した.皮膚症状の出現は151例で認め,69%であった.皮膚症状を認めた群では,認めない群と比較し,平均年齢,HCV陽性と診断されてからの年数,ZTT値が有意に高く,肝炎の慢性化が皮膚症状の発生に関連する事が示唆された.個々の皮膚疾患については,輸血からの年数が長い症例,すなわちHCV感染の期間が長い症例のほうが皮膚症状を認めやすい傾向があり,中でも,何らかの免疫機序が関与して生じたと考えられる慢性蕁麻疹,扁平苔癬,クリオグロブリン血症性紫斑の3疾患20症例については統計的に有意であった.血管の変化が主体である手掌紅斑,くも状血管腫,紙幣状皮膚の出現率はこれまでに報告があるアルコール性肝障害と比べ低い割合であった.HCVの局在についての検討では,クリオグロブリン血症性紫斑の1例で陽性所見を認めたが,使用した抗体やエピトープの問題があり明確な局在の証明には至らなかった.CVが病変部に存在するかは今後の検討を待ちたい.
  • 藤田 悦子, 小宮根 真弓, 湧川 基史, 朝比奈 昭彦, 川端 康浩, 相馬 良直, 佐藤 博之, 本倉 徹, 玉置 邦彦
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1083-1090
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    病理学的に著明な苔癬型反応が主体であったparaneoplastic pemphigus(PNP)の症例を報告した.62歳,女性.広範囲にわたる粘膜びらんと躯幹,四肢の角化性丘疹.組織学的に棘融解は認められず著明な苔癬型反応がみられた.蛍光抗体直接法では表皮細胞間,基底膜にIgG,C 3の沈着を認めた.正常ヒト皮膚を用いた間接法では細胞質に陽性,ラット膀胱上皮を用いた場合では上皮細胞間と基底膜部に陽性であった.患者血清からELISA法にて抗desmoglein 1および3抗体が,また免疫ブロット法にて250-,190-,130-kDの位置にバンドが検出された.B細胞性リンパ腫を合併.初診より1カ月半後,呼吸不全にて永眠した.蛍光抗体,免疫ブロットの所見に加え,本症例は棘融解が無いもののELISA法に抗desmoglein 1,3抗体が検出されたのでPNPと診断した.このようにPNPでは水疱より苔癬型反応が目立つことがある.そのため病態に液性免疫と細胞性免疫の双方が関与している可能性があると思われた.また本症の診断に際してはラット膀胱を用いた蛍光抗体間接法,免疫ブロット法,ELISA法による抗desmoglein 1,3抗体の検出など,多角的な検討が必要であると考えられた.
  • 上ノ土 武, 奥田 由香, 今福 信一, 占部 和敬, 古江 増隆
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1091-1097
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    67歳の男性.神経線維腫症はない.平成7年11月項部の神経線維腫に対し,切除及び全層植皮術を施行したが,平成9年夏頃より植皮部の皮下に腫瘤出現した.切除標本の病理組織像では腫瘍部の辺縁は前回と同様の神経線維腫であったが,中心部はクロマチンに富んだ紡錘形の細胞が稠密に増殖し束をなして錯綜していた.腫瘍細胞はS-100陽性であった.本症例を神経線維腫から生じたmalignant peripheral nerve sheath tumor(以下MPNSTと略す.)と診断した.平成2年から平成11年までの10年間の間に本邦で報告された133例を集計し,考察した.その結果,神経線維腫症非合併群は合併群と比較して,診断確定時年齢が高いこと,四肢遠位側発症も少なくないこと,転移,再発までの期間が長いことが特徴としてあげられた.
  • 坂下 さゆり, 加藤 卓朗, 西岡 清
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1099-1104
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,寝たきり患者の舌を臨床および真菌学的(直接鏡検と培養)に検討した.対象は,済生会川口総合病院に入院または通院中の寝たきり患者56例である.培地としてchloramphenicolを加えたサブロー・ブドウ糖寒天平板培地を用い,滅菌綿棒で舌を擦過し,培地に塗沫し培養した.直接鏡検陽性は56例中25例(44.6%)と高値であった.また,陰性31例のうち19例でカンジダ属を分離(Candida albicans 17例)した.舌の臨床所見(自覚症状,白苔,発赤および萎縮),患者の状態を示す因子(①基礎疾患,②臨床検査成績,③治療薬,④栄養摂取法,⑤寝たきり期間,⑥ADL,⑦Braden scale,⑧褥瘡の有無,⑨検査1カ月後の予後)で直接鏡検陽性率を比較した.直接鏡検陽性率は,臨床症状では,自覚症状のある症例,はがれやすい白苔のある症例,発赤のある症例で高く,患者側の因子では,結核患者,寝たきり期間1カ月以内の患者で高かった.一方,臨床検査成績,治療薬,栄養摂取法,ADL,Braden scale,褥瘡の有無,予後では有意差はなかった.
  • 福井 利光, 玉田 康彦, 松本 義也, 横井 太紀雄, 原 一夫
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1105-1109
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
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    隆起性皮膚線維肉腫の一部に線維肉腫様の変化を伴った56歳の男性例を経験した.約8年前より自覚症状のない小豆大の腫瘤が左腰部に出現したがそのまま放置していた.その後腫瘤は徐々に増大してきたため近医にて生検施行され,隆起性皮膚線維肉腫の疑いで当科を紹介受診した.左腰部に6.0×6.5×3.5 cm,弾性硬,表面暗赤色調の皮下腫瘤を認めた.CTでは下床の筋肉への浸潤はみられず,腫瘍辺縁より3 cmの切除マージンをとって全摘術を施行した.組織像では紡錘形細胞がcart-wheel patternを呈する定型的な隆起性皮膚線維肉腫の部分とherringbone patternを示す線維肉腫様の部分を認めた.隆起性皮膚線維肉腫の部分はCD34免疫組織染色で陽性に染色されたが,線維肉腫様の部分では陰性であった.
  • 鈴木 かやの, 川名 誠司, 吉野 惠, 木村 陽一, 青木 恵理
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 7 号 p. 1111-1116
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    症例は40歳男性.初診の約1カ月前より全身倦怠感があり,1週間前より発熱と,両下腿に疼痛を伴う皮下結節が出現した.皮疹はその後数日で広範囲・難治性の潰瘍を形成した.組織学的に壊死性血管炎であった.高度の高好酸球血症,多発単神経炎,間質性肺炎を伴っていた.臨床および病理組織学的に,顕微鏡的多発血管炎(MPA)を考えたが,腎障害は見られず,抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)も陰性で,その診断基準を満たさなかった.また高度の高好酸球血症と病理所見より,アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)を鑑別にあげたが,喘息の既往が無いことより診断基準を満たさなかった.最終的に結節性多発動脈炎(PAN)と診断したが,間質性肺炎以外に,いわゆる古典的PNにみられるような重篤な多臓器障害を認めなかった.以上のように,一つの疾患に特定できない症例に対し,Fauciの提唱したpolyangiitis overlap syndrome1)の疾患概念が当てはまるかどうかについて検討した.
学会抄録
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