日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
尋常性痤瘡に対する低濃度グリコール酸を用いたChemical Peelingの有効性について
鈴木 かやの川名 誠司池谷 精司
著者情報
ジャーナル 認証あり

2001 年 111 巻 8 号 p. 1243-1249

詳細
抄録

抗生剤長期投与中(平均16.1カ月)の尋常性痤瘡患者38名(男10名,女28名)に,低濃度(5~20%)グリコール酸水溶液を用いたChemical peeling(以下CP)を施行した.全例で,3カ月という短期間に,抗生剤の投与量の大幅な減量が可能であった.平均投与量はCP開始前がDOXY 95 mg/dayであったのに対して,10回施行後は9.2 mg/dayまで減量できた.抗生剤投与を完全に中止できた患者は38名中28名(73.7%)であった.全般改善度は,著明改善21例(34.2%),改善15例(60.5%)と,高い有効率を示した.また,低年齢者や妊婦・授乳婦,薬剤アレルギーのある患者など,抗生剤内服の困難な5名に対してCPを単独で施行したところ,10回の施術で,全例において皮疹の改善がみられた.本法の特徴は,グリコール酸の基材を水溶液にし,ごく低濃度から開始することにより,手技を簡略化し,施術後にはほぼ必発であった疼痛や発赤を最小限に抑えられた点にある.接触皮膚炎や炎症後の色素沈着,強い刺激症状などの問題となる副作用は経過中43例全例とも認められなかった.低濃度グリコール酸水溶液を用いたCPは,尋常性座瘡の治療に対するすぐれた治療法のひとつであり,臨床的により広く応用可能な手技と考えた.

著者関連情報
© 2001 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top