日本皮膚科学会雑誌
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原著
高齢者Anaphylactoid purpuraの臨床的検討
中野 敏明山口 京美山上 美江原田 晴美衛藤 光
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2001 年 111 巻 8 号 p. 1237-1241

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抄録

当科で臨床像および組織学的にAnaphylactoid purpura(以下AP)と診断された21歳から80歳までの成人33例のうち,60歳以上の高齢者AP 10例の臨床像および背景因子について検討した.高齢者APでは青壮年APに比し関節痛(高齢者:30%/青壮年:52%),腹痛(10%/43%)の出現頻度が低い一方,腎障害(70%/65%),下腿浮腫(70%/8%),腹水(20%/0%),体重減少(20%/0%)などの多彩な全身症状を呈し,また皮膚症状も下腿浮腫(70%/8%),血疱(40%/0%),口腔粘膜病変(10%/0%)など多彩であった.また高齢者では10例中7例に基礎疾患を認め,うち5例が悪性腫瘍であった.さらに8例では何らかの細菌感染症が誘因として働いていたと考えられた.高齢者ではAPの発症に際し,感染症が関与する例を多く認めたが,その背景には悪性腫瘍などの基礎疾患を有する例が多いことをふまえ,本症をdermadromeの一つとして念頭におき,合併疾患の検索に努める必要があるものと考えた.

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© 2001 日本皮膚科学会
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