日本皮膚科学会雑誌
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111 巻, 8 号
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生涯教育講座
  • 橋本 隆
    原稿種別: 生涯教育講座
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1195-1203
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    Paraneoplastic pemphigus (PNP) is a new variant with severe erosive lesions on the oral and ocular mucosaeand variable cutaneous lesions ; it resembles Stevens-Johnson syndrome. It is mainly associated with hematological malignant tumors, particularly non-Hodgkin’s B-cell lymphoma. The anti-keratinocyte cell surface IgG autoantibodies in the sera react predominantly with multiple plakin family proteins, suchas plectin, desmoplakins I/II, BP 230, envoplakin and periplakin, by either immunoprecipitation or immunoblot analysis. Desmogleins 3/1, which are antigens for classic types of pemphigus, are also involved in PNP. PNP is intractable to various treatments, and the prognosis is very poor. In addition, lethal respiratory conditions like bronchiolitis obliterans are frequently associated with PNP. Therefore, correct diagnosis in the early stages and proper treatments are extremely important for the management of PNP patients. Dermatologists must became very aware of the conditions of this life-threatening disease.
原著
  • 駒井 礼子, 橋本 隆
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1205-1214
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    久留米大学皮膚科において最近約3.5年間に経験した178例のさまざまな自己免疫性水疱症症例に対して,各種蛍光抗体法,免疫ブロット法を用いた検索を行ない,診断確定におけるこれらの検索の有用性を検討した.178症例のうち抗原解析の結果により確実な診断のついたものは142例(79.8%),臨床・病理組織所見を加えてほぼ診断が確定できたもの32例(18.0%),不明のものが4例(2.2%)であった.水疱性類天疱瘡が110例,天疱瘡群が43例,瘢痕性類天疱瘡が11例,線状IgA水疱性皮膚症が4例,線状IgA/IgG水疱性皮膚症が1例,後天性表皮水疱症が3例,未知の200kDa抗原蛋白に対するIgG抗体陽性症例(抗p 200類天疱瘡)が2例であった.このうち,146例(82.0%)では臨床診断と抗原解析結果が一致した.また,抗原解析の結果,複数の臨床診断から最終確定できたものは12例(6.8%),臨床診断と異った最終診断となったものは16例(9.0%)であった.今回の研究から,臨床・病理組織学的所見,蛍光抗体直接法所見に加えて,各種の蛍光抗体間接法および免疫ブロット法による抗原解析を行うことで,ほとんどの症例の診断が可能であることが示された.今後,注意深い臨床所見の観察と病理組織学検索に加えて,必要な症例にはこれらの抗原解析を行うことが,確実な診断と的確な治療のために非常に有用と思われた.
  • 山下 眞之, 坪井 良治, 高森 建二
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1215-1221
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    1994~98年の5年間に順天堂大学医学部皮膚科を受診した円形脱毛症患者のうち,15歳以上で6カ月以上治療し得た急性全頭型を除く全頭型患者108人および汎発型患者175人,計283人に対して,4つの治療法を実施し,治療効果,再発率,副作用などを比較検討した.治療法の内訳は,1群:局所免疫療法(58人),2群:副腎皮質ホルモン外用剤療法(85人),3群:副腎皮質ホルモン剤内服・外用療法(104人),4群:副腎皮質ホルモン剤内服・外用および8-MOP内服全身PUVA併用療法(36人)であった.効果判定は,頭髪の発毛状態をスコア化し,その変動により評価した.その結果,有効率と著効率はそれぞれ,1群:41.4%(15.5%),2群:37.6%(23.5%),3群:57.7%(43.3%),4群:72.2%(61.1%)(カッコ内は著効率)であった.また,再発率は略治後の再発率は,1群:66.6%,2群:30.0%,3群:35.6%,4群:13.6%であった.有効率は,3群,4群が,1群,2群に比し有意に優れており,特に4群は,有効率が最も高く再発率は最も低かった.また,1群は有効率は高いが,著効率が低く再発率が高い傾向が認められた.略治までの副腎皮質ホルモン剤の内服総量の平均は,4群は,3群に比し約15%少なかった.副作用は1群を除くいずれの治療群にも副腎皮質ホルモン剤の内服・外用によると考えられる副作用が高頻度に出現したが,いずれも治療終了までに,軽快あるいは改善傾向を示した.今回比較検討した4つの治療法の中では,副腎皮質ホルモン剤内服・外用8-MOP内服全身PUVA併用療法が,治療効果,再発率いずれも有意に他の治療法に比し優れており,全頭型・汎発型脱毛症に対し有効な治療法と考えられた.
  • 竹之内 辰也, 皆川 正弘, 廣瀬 貴之, 今井 洋介, 張 高明, 片岡 哲, 小川 淳, 浅見 恵子
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1223-1228
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    同種造血幹細胞移植後の急性graft-versus-host disease(GVHD)において,皮膚生検による病理組織所見および組織学的重症度分類が,臨床的な重症度を反映する指標となり得るかどうかにつき検討した.新潟県立がんセンターにおいて,同種造血幹細胞移植後に皮膚生検により急性皮膚GVHDの診断がなされた16例を対象とした.病理組織所見として,表皮基底層の液状変性,表皮細胞の好酸性壊死,satellitosis,附属器上皮細胞の好酸性壊死,真皮上層のリンパ球浸潤の5項目につき評価し,急性GVHDの臨床的重症度分類および生命予後との関連につき統計学的に検討したところ,いずれの所見についても有意な関連はみられず,組織学的重症度分類と臨床的重症度分類との間にも有意な関連は認めなかった.同種造血幹細胞移植後のGVHDを適切なレベルで制御していくにあたっては,GVHDの重症度の評価,進行の予測が重要であるが,皮膚生検の結果はその指標にはなり得ないことが示された.
  • 森田 明理, 新谷 洋一, 長谷川 正規, 加藤 正也, 西尾 栄一, 細川 裕子, 辻 卓夫
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1229-1236
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    Narrow-band UVBは,311 nmにピークを持つきわめて狭い波長(311±2 nm)の紫外線光源であり,尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎などにヨーロッパでは一般的に用いられている.乾癬でbroad-band UVB療法より優れ,PUVA療法とはほぼ同等とされる.今回,明らかにステロイド外用,ビタミンD外用で皮疹のコントロールのできない難治な尋常性乾癬23名(平均PASI 28.6)を対象としてnarrow-band UVB療法を行った.Narrow-bandUVB療法には,TL 01ランプ10本装着したM-DMR-LH型を使用した.照射率の測定はIL 1700を用いた.照射方法は,ヨーロッパで一般的に用いられているstandard regimenを用い,入院では週に5回,外来では週に3回の照射を行った.治療終了時の皮疹評価は,寛解15例,改善4例,やや軽快1例であり,寛解導入率65.2%,改善以上は82.6%であった.また,3例では,増量に伴うケブネル現象がみられたため,増量が難しく,不変もしくは悪化し中止とした.それ以外,水疱などの高度の急性副作用を起こすことなく照射が可能であった.
  • 中野 敏明, 山口 京美, 山上 美江, 原田 晴美, 衛藤 光
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1237-1241
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    当科で臨床像および組織学的にAnaphylactoid purpura(以下AP)と診断された21歳から80歳までの成人33例のうち,60歳以上の高齢者AP 10例の臨床像および背景因子について検討した.高齢者APでは青壮年APに比し関節痛(高齢者:30%/青壮年:52%),腹痛(10%/43%)の出現頻度が低い一方,腎障害(70%/65%),下腿浮腫(70%/8%),腹水(20%/0%),体重減少(20%/0%)などの多彩な全身症状を呈し,また皮膚症状も下腿浮腫(70%/8%),血疱(40%/0%),口腔粘膜病変(10%/0%)など多彩であった.また高齢者では10例中7例に基礎疾患を認め,うち5例が悪性腫瘍であった.さらに8例では何らかの細菌感染症が誘因として働いていたと考えられた.高齢者ではAPの発症に際し,感染症が関与する例を多く認めたが,その背景には悪性腫瘍などの基礎疾患を有する例が多いことをふまえ,本症をdermadromeの一つとして念頭におき,合併疾患の検索に努める必要があるものと考えた.
  • 鈴木 かやの, 川名 誠司, 池谷 精司
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1243-1249
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    抗生剤長期投与中(平均16.1カ月)の尋常性痤瘡患者38名(男10名,女28名)に,低濃度(5~20%)グリコール酸水溶液を用いたChemical peeling(以下CP)を施行した.全例で,3カ月という短期間に,抗生剤の投与量の大幅な減量が可能であった.平均投与量はCP開始前がDOXY 95 mg/dayであったのに対して,10回施行後は9.2 mg/dayまで減量できた.抗生剤投与を完全に中止できた患者は38名中28名(73.7%)であった.全般改善度は,著明改善21例(34.2%),改善15例(60.5%)と,高い有効率を示した.また,低年齢者や妊婦・授乳婦,薬剤アレルギーのある患者など,抗生剤内服の困難な5名に対してCPを単独で施行したところ,10回の施術で,全例において皮疹の改善がみられた.本法の特徴は,グリコール酸の基材を水溶液にし,ごく低濃度から開始することにより,手技を簡略化し,施術後にはほぼ必発であった疼痛や発赤を最小限に抑えられた点にある.接触皮膚炎や炎症後の色素沈着,強い刺激症状などの問題となる副作用は経過中43例全例とも認められなかった.低濃度グリコール酸水溶液を用いたCPは,尋常性座瘡の治療に対するすぐれた治療法のひとつであり,臨床的により広く応用可能な手技と考えた.
  • 近澤 真紀, 近澤 成和, 近井 高志, 川村 明廣
    原稿種別: 原著
    2001 年 111 巻 8 号 p. 1251-1256
    発行日: 2001/07/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    77歳,男性.陰嚢皮下膿瘍,MRSAによる硬膜外膿瘍の治療のため種々の抗生剤投与中,右足内踝部の静脈留置カテーテル刺入部に発赤が出現し,大伏在静脈に沿って上行性に発赤と局所熱感が拡大した.カテーテルを抜去するも次第に下腿と大腿に皮下膿瘍が多発した.同部の病理組織像では,真皮浅層から皮下組織に好中球による膿瘍とリンパ球,組織球,形質細胞から成る肉芽腫が認められた.PAS染色で多数の胞子が膿瘍内や肉芽腫内にみられた.膿および皮膚組織片の培養からC. tropicalisを検出した.種々の抗真菌剤投与を行い皮疹は3カ月後に消退した.当初著明な高値を示した(1→3)-β-D-グルカン値は治療効果を反映して低下し,11カ月後には正常値となった.(1→3)-β-D-グルカンが治療の指標として有用であった.
学会抄録
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