抄録
乾癬のシクロスポリン(CYA)療法の重要な副作用の1つに腎障害がある.今回,CYA治療を受けた乾癬患者9名,壊疽性膿皮症患者1名に腎生検を施行し組織学的検討を行い,経過中のCYA用量,検査成績などとの関連性について検討した.対象は,乾癬患者9名(男性7名,女性2名,32~72歳),壊疽性膿皮症患者1名(女性,32歳),CYA治療期間は6週間~11年(平均治療期間:3.24年).腎生検所見は糸球体病変,間質病変,血管病変について検討し,その所見をスコア化(CYA腎障害スコア)した.このCYA腎障害スコアと,年齢,CYA治療期間,平均CYA用量,総CYA用量,生検時血清Cr値,24時間クレアチニンクリアランス(24hCcr)との関連性について検討した.その結果,CYA腎障害スコアと年齢,24hCcr間に関連性を認めた.CYA治療を行う際に高齢者に対して注意を要することを再確認したとともに,CYA腎障害を知る検査法として24hCcrが有用と考えられた.