シクロスポリン(CYA)の乾癬に対する臨床的有用性はほぼ確立した.しかし,その腎毒性,高価な薬剤費からも治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring,TDM)に基づくより有用な治療法の確立が必要である.今回,ネオーラル
®3.0mg/kg/日(分2)内服中の尋常性乾癬患者22例における内服4時間の血中動態を測定し,TDMに基づく治療法の確立のための観察点(採血時間)について検討した.その結果,内服後4時間の血中濃度―時間曲線下面積(area under the concentration-time curve)〔AUC
0-4〕と,内服2時間後の血中濃度(C
2)と相関することが認められた(r=0.87,p<0.001).AUC
0-4は薬物の血中動態が正確に把握でき,臨床効果・安全性と相関するとされる.ネオーラル
®治療では今までモニタリングとして測定されていたトラフ値より,C
2値をモニタリングすることにより,TDMに基づく治療法の確立ができる可能性が示唆された.
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