抄録
過去20年間に奈良県立医科大学皮膚科を受診し,サルコイドーシスと診断された24例についてその皮膚の臨床像を中心に検討した.患者の年齢層は9歳から84歳で平均51歳,男女比は1:5であった.皮膚の臨床像の内訳は,局面型6例,皮下型4例,結節型4例,苔癬様型4例,瘢痕浸潤2例,びまん浸潤型1例,皮下型と瘢痕浸潤,局面型と苔癬様型,局面型とびまん浸潤型の重複例が各1例ずつであった.これらの症例の検討により血清ACE値はBHLや眼病変といった他臓器症状とある程度関連性を持つ可能性が示唆されたが,皮疹の範囲や大きさとの相関は見られなかった.また,皮疹の各臨床像による他臓器疾患及び予後については明らかな違いは認められなかった.組織学的検討も同時に行ったが,組織からもある程度皮疹の臨床像を推測できるものと思われた.