日本皮膚科学会雑誌
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原著
直線偏光近赤外線照射による円形脱毛症の治療の試み
三浦 優子坪井 良治
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ジャーナル 認証あり

2002 年 112 巻 2 号 p. 123-128

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抄録

直線偏光近赤外線治療器(SUPER LIZER,以後SLと略す)を病型の異なる18歳以上の円形脱毛症患者60例に照射し,その有効性を検討した.単発型,多発型円形脱毛症にはSLを3分間の間歇照射で1~2週に1回照射した.全頭型・汎発型円形脱毛症には副腎皮質ホルモン薬内服・外用と全身PUVA併用療法を基本に,それに上乗せする形で,SLを移動させながら後頭部全体に5分間連続照射し,連日4週間くり返した.その結果,単発型では22例中19例が治癒(86.4%)した.多発型では非照射部と比較して照射部の方が発毛が早かった症例が18例中10例(55.6%),平均1.4カ月早く再生毛がみられ,逆に遅かった症例はなかった(X2検定p=0.0002).全頭型・汎発型20例では照射部と非照射部で明らかな差異は認められなかった.SLによると思われる副作用として局所の灼熱感が2例に認められた.今回の治療成績から,副作用が少なく,非侵襲性であるSL照射は単発型,多発型などの比較的軽症の円形脱毛症の補助的治療法として有用な理学療法の1つであることが判明した.

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© 2002 日本皮膚科学会
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